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2016.03.30. / イベント

学位記授与式における学長告辞を掲載

学長告辞

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 春分を迎え、春を感じ始めた本日、ご来賓並びに名誉教授のご列席のもと、学部卒業生、大学院修了生及びご家族、ご親戚の皆さまとともに平成27年度学位記授与式を行いますことは、室蘭工業大学にとりましてまことに慶ばしく、ご列席のみなさまとともにこの喜びを分かち合いたいと存じます。

 本日、晴れて学部を卒業し、学士(工学)の学位を得られた方は578名、大学院博士前期課程を修了し、修士(工学)の学位を取得された方は194名、また、大学院博士後期課程を修了し、博士(工学)の学位を授与された方は12名おります。また卒業生・修了生の中には外国人留学生が29名おります。

 これら784名の皆さんに、学位の取得並びに卒業・修了を心からお祝い申し上げます。また皆さんの入学から今日まで、修学を励まし支えてこられたご家族並びに関係者の方々に敬意とご祝辞を申し上げます。

 さて、今日は学位記授与式に当たり、皆さんがこれから飛び出す新たな社会について少し想いを巡らし、私からの期待を述べさせていただきます。

 

 日本経済の復活、活性化を目指したアベノミクスも、TPP 交渉もなんとかまとまり、昨年末ごろまでは安定した経済の復活を感じさせていましたが、今年の年初からの株安・原油安・円高・日銀のマイナス金利政策など、現在では日本経済や世界の経済状況は、依然として目が離せない状況が続いています。アベノミクスの効果や日銀のマイナス金利政策に関しても、社会が抱える課題は、これが正解という明確な解はなく、解があるかどうかもわかりません。

 数年先、あるいはもっと時間を経ないと結論は出ません。高校までの課題や問題は、明確な答え、模範解答がありましたが、皆さんが大学で遭遇した課題、実験レポートなどには、模範解答や明確な解がないケースも多かったことと思います。このような観点からは、まさに皆さんが行った卒業研究や大学院での研究の課題と同じです。

 

 さて、日本の皆さんの世代の状況をみると、少子化が進み、皆さんから見ると国内のライバルは減っていることになります。しかし、今やグローバル世界であり、ライバルは世界の若者たちとなりますので、生産年代の人口が減り続ける我が国としては、その活性化を図るには、皆さんの活躍、とりわけ今後は女性の皆さんの社会での活躍が重要なキーとなります。

 これから社会人になる人はもちろん、進学する皆さんも新しい組織に属することになりますので、新しい組織へ属するときの心構えとして、私からのメッセージをお送りします。

 

 まずは、皆さんが所属することになる組織、例えば会社や自治体の所属部署になりますが、そこへの貢献をどのように果たすかを考えてください。自分は、組織に対して何の役に立ったのか、どう役に立ったのかと考えてみましょう。組織への要望や要求もきっとたくさん出てくるでしょうが、まずはやるべきことを行ってからということになります。

 そして皆さんの貢献によって成り立つ組織は、一つの企業体として社会への貢献を果たすことで、その存在価値を持つことになります。個人的には当然、様々な権利がありますが、これは権利だけで成立しているわけではありません。常に権利と義務とはセットになっていると思います。

 

 今までの皆さんは、守られたお客様の待遇、すなわち授業料を支払って、自ら学ぶ時間、教わる時間、考える時間を確保し、大学や保護者の皆さんからあたたかい支援を受けていた、まさにお客様としての待遇でした。

 これから、自らの時間を組織への貢献に費やし、その対価としての賃金、給与を得るという立場に変わります。皆さんが、所属組織の顧客、ステークホルダー、すなわちお客様に貢献していく境遇という具合に180度変わります。心して、これまで以上に自分の時間を大切に使ってください。

 

 さて皆さん、大学で学んだことは何でしょうか。身につけたことは何でしょうか。長かった、苦しかった、楽しかった、充実した、卒業研究、博士前期課程(修士)の研究、そして博士後期課程の研究を乗り越えて、皆さんは今日の日を迎えています。卒業要件の単位をすべて満たし、それぞれの達成目標、到達目標まで達し、それを身につけて、本学を旅立つことになります。

 振り返ってみると、学部卒業の皆さんは、何が身についたかな、と少し考えてしまう学生さんもいるかもしれません。

 

 私が思うに、皆さんが学生時代に身につけた最も大きなことは、それぞれの科目の単位取得、卒業研究、大学院での研究を、苦しみながら、あるいは楽しみながら、時間をかけてたどり着いたという、一種の「成功体験」です。

 皆さんの研究結果は、必ずしも全員が成功しているわけではなく、運良く、世界で初めての知見にたどり着けた人もいるでしょうが、それは一握りかもしれません。そこまで行かなくても、実験が失敗し、あるいは思ったようには進まず、ネガティブな結果であっても、学部で言えば卒業研究としてまとめあげ、学科の発表会あるいは博士前期課程であれば学会での発表会で、先生や外部の有識者や同僚の皆さんの前で、その成果を公表する、まとめた結果を卒業論文や修士論文、そして博士論文として残すこと。これが皆さんの成功体験の一つです。

 もちろん、その他の科目を含めて卒業要件の120数単位を取得できたことも、大事な成功体験です。

 

 最初に述べたように、この後社会へ出る人は、その待遇が180度変わります。その厳しい環境のなかで、困難にぶつかったとき、答えがみつからないとき、本学で得た成功体験を思い出し、少し立ち止まって、考えてください。

 困難に立ち向かう姿勢、問題への取り組み方など、本学での経験が、そのままではなくても、きっと経験の一部として役立つことがあると思います。

 また、皆さんの周りにはたくさんの応援団、仲間がいます。本学の同窓生だけでも30000人を超えており、先輩たちが皆さんの活躍を期待と温かい目で見守っています。繰り返しになりますが、本学で身につけた知識、能力、様々な経験、成功体験をもって、新しい世界・社会へ飛び出してください。

 

 これからも室蘭工業大学は皆さんとともに、日本の輝かしい未来に向かって、教育と研究そして社会への貢献を大きな柱として歩みます。皆さんのご健勝とご活躍を祈念し、学長告辞といたします。

 

                              平成28年3月23日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 

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