平成30年度入学宣誓式 告辞

 

 室蘭にも春が訪れた本日、ご来賓ならびに名誉教授の諸先生のご臨席のもと、平成30年度入学宣誓式を行いますことは、室蘭工業大学すべての教職員、学生にとって大きな慶びであります。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本年度入学者は、工学部学士課程の667名、編入学生48名,大学院博士前期課程258名、博士後期課程16名、合わせて989名の皆さんです。この中には海外からの留学生が学部に29名、大学院に35名、合わせて64名含まれております。また学士課程入学者667名中、女子学生は84名、日本人学生の出身地は37都道府県に及んでいます。編入学生も含めた学部生715名の入学者に着目しましても,今年は海外からは3ヶ国,29名,道外からの入学生は229名,32%,道内からは457名,64%となっております。本学は,全国そしてアジア圏から学生諸君を受け入れ,日本全国へあるいは世界へ学生諸君を送り込んでいる工業大学であり,教室に,研究室に,大学のキャンパスのあちこちにグローバルな環境を有する大学であります。この留学生の諸君の総数はこの4月で166名と過去最高の数字となっています。
 また長年にわたり勉学の環境を整えられ、本人たちの努力を支えてこられたご家族ならび関係者の方々にも、心から敬意とご祝辞を申し上げます。さて入学宣誓式の本日は、本学在学中の学生時代にどのようなことを心がけるべきか,身につけるべきかについて、新入生の皆さんに私からの期待を述べさせていただきたいと思います。

 国立大学は、それぞれの大学が持つ強み、特色、専門性などを最大限に活かし、社会に貢献すること、さらにその機能を強化、進化させていくことを国民の皆さまに約束しています。 本学は「地域貢献」を大きなキーワードとして掲げ,北海道地区の代表校として行っている,地(知)の拠点大学による地方創生事業(COC プラス)」の「オール北海道雇用創出・若者定着プロジエクト」を行なっています。その事業のなかでは「地方創生推進教育プログラム」を開設し、新しい「地域課題解決型」の授業が始まっています。学部の新1年生の皆さんは,早速,室蘭の街などへ出て行く,自らが能動的に授業に関与するアクティブな授業に取り組んでもらうことになります。学部入学生の諸君が最初に主に学ぶ場所である教室がある講義棟(N棟)については,1/3の部分の全面改修が終わり,残り2/3の改修工事IIを30年度後期(10月から)、31年度前期(4月から)の約1年間にかけて行う予定となっております。皆さんには少し不自由な時間をおかけすることにはなりますが,今後講義棟全体の改修が進みます。完成後には,学生諸君が積極的に自発的に授業に取り組むことができる,アクティブラーニングの手法を十分に用いる教室が多く整い,学習のための設備も充実させますので期待して下さい。
 さて,皆さんはどのような目標・目的をもって室蘭工業大学に入学されたことでしょうか? 学部入学の皆さんはこれから貴重な4年間,大学院博士前期課程の皆さんは貴重な2年間,大学院博士後期課程の皆さんはさらに3年間の時間を確保できたわけです。大学は,皆さんが社会へ旅立つ直前の仕上げとなる貴重な準備期間です。朝から晩まで正々堂々と誰にも気兼ねなく勉強できるとても貴重な我々社会人からみるととてもうらやましい時間となります。皆さんにはやがてこれから,長い長い社会人時代が待っています。ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授がLife Shift100年時代の戦略を唱え,安倍総理も「人生100年時代構想会議」を立ち上げ,100年時代を生きぬく人材育成,人づくり革命を目指しています。室蘭工業大学においても,まずは理工学の基礎,工学と科学の基礎知識を学びましょう。基礎知識の学びはえてして退屈なことが多いかもしれませんが,工学と科学の基礎は将来,皆さんの人生の様々な場面で必要になることがきっとあると思います。頑張って学んでください,皆さんの脳細胞を十分に活動させてください。皆さんが自ら積極的に,能動的に授業に参加してください。
というのも,毎年新入生諸君に申し上げていますように,「ものごと何でも最初が肝心」ということです。すなわち,4年間の学生生活のなかで,最初の1年がとても重要となります。最初の1年を順調に乗り切ると,残り3年間も安定した学生生活を送ることができる確率が大幅に高くなります。これは統計的なエビデンスに基づいた確かな話です。皆さん,入学試験ではそれぞれにたいへん頑張っていただいたばかりではありますが,入学時から卒業時にいたるまでの皆さんの大学での成績を統計的にみてみると,実は入学試験そのものの成績と卒業時の成績にはあまり相関はありません。ところが,1年終了時の成績と卒業時の成績にはかなり強い相関があります。1年生の時から自分のこれまでの人生を振り返り,その上で4年間の学生生活の目標をぜひ設定し,達成するための計画を立てて臨んで下さい。学生時代は,まじめに,真摯に取り組む姿勢,心構えすなわち努力する姿勢が重要です。
また,室蘭工業大学の教員は,自ら教科書を書いたり,研究成果を日本や世界の雑誌に論文として発表し,教科書のベースとなる新たな研究成果を社会に,世界に発信する研究者でもあります。とりわけ,最近は若手の元気の良い教員たちの活躍が目立っており,例えば情報電子工学系学科の董(とう)先生・太田先生のグループはイギリス工学技術学会の学術論文誌IET Communicationで発表し,2015-2016年の2年間の584報の論文の中から唯一の論文(先端ネットワークに関する研究)として,Premium Awardを受賞するという世界でもトップレベルの研究評価を得ています。また一方では建築社会基盤系学科の有村先生が「ビッグデータを活用した都市地域計画立案支援モデルの開発と北海道地域社会への実装」の功績により,応用理化学系学科の徳樂先生が,「アミロイド凝集阻害物質の微量探索システムの開発と北海道天然資源からの有用物質探索」でそれぞれ平成29年度,28年度の北海道科学技術奨励賞を受賞しています。同じく応用理化学系学科の山中先生や情報電子工学系学科の塩谷先生を研究代表者とするグループが「口蹄疫・鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化」及び「サケマス回帰率向上のためのICTを活用したビッグデータ取得と利活用に関する研究」で大型の外部資金の獲得に繋がる研究成果を輩出したりと,たいへん頼もしい成果が上がってきています。このような本学の優れた教員たちが,きっと教科書の行間に潜んでいる,科学や工学の面白さを皆さんに専門家の立場から伝えてくれます。
つい先週のことですが,3月28日に英国,ロンドンに本拠地を置く,THE(Times Higher Education)の世界大学ランキング2018の日本版が公表されました。ここでは,入学時の学生諸君の学歴,いわゆる偏差値に代表される入学校歴だけではなく,どのようなことを身につけたか,学修したか(学修の修は,学ぶではなく修めるほうですが)が重要であり,大学の教育リソース,教育充実度(高校教員から見た人材育成に対する評価),教育成果(企業や研究社会からの評価),国際性という4つの観点からevidenceに基づいて評価されたものです。ランキングの順位そのものに踊らされる必要は毛頭ありませんが,全国150位までの総合ランキングに,北海道内の国公私立大学からは北海道大学,はこだて未来大学,小樽商科大学,本学,そして札幌医科大学という5つの大学が入っています。本学は相対的には教育成果(企業人事と研究者の評判)に強みがありました。入学時の偏差値が重要ではなく,大学で如何に学ぶか,何を成果として身につけるか,outcomeが重要ということの一例だと思います。
 さて,皆さんは日本に大学がどのくらいあるかご存じでしょうか? 文部科学省によると,国立大学が86,公立大学が89,私立大学が604大学であり,合わせて779大学となります。国立大学は大学数でみると日本全体の大学の11%程度,学生数の割合でみると,ほぼ倍の21%となります。国立大学と私立大学の違いはどこにあるでしょう? 国立大学のほうが,学生さん一人あたりの教員数が多いことがよく取り上げられます。これは理工系大学であれば,教員の研究力の違いとして顕著であり,大学院の重要性につながります。大学院の学生数でみると学部生の約3倍の60%の学生が国立大学に所属しています。本学も含めて理工系における国立大学の大きな特徴は大学院の充実ということになります。我が室蘭工業大学においてもこの度は,博士前期課程に258名,後期課程に16名の新入生を迎えました。学長としましては,今後も大学院教育と研究の充実をはかり,室蘭工業大学の特徴,強みを発揮できるようにこれまで以上にチャレンジしていきたいと考えております。大学院博士前期課程修了のほうが学部卒業と比べると,東証一部上場企業への就職率は確実に上昇しています。大学院まで進むと,海外での国際会議に参加・発表するチャンスも増えてきますし,より教員との勉強や研究を通した交流が深まります。ぜひ,我々室蘭工大の教員の研究力・教育力の優れたところを吸収してください。また学内でも,国際シンポジウムが開催されたり,異文化交流の講義への参加,留学生諸君へのチューターとしてとの交流も含めて,多面的観点,俯瞰的視点を拡げるグローバルな環境が皆さんを待っています。
 以上,新入生の皆さんに私からの大学生活での心構えと期待を述べさせていただき,入学宣誓式の告辞とさせていただきます。                 
 

 

                              平成30年4月4日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 更新年月日:2018年4月4日
作成担当部局:総務広報課広報地域連携係

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