平成31年度入学宣誓式 告辞

 

 

 春の訪れが待ち遠しい本日、ご来賓ならびに名誉教授の諸先生のご臨席のもと、平成31年度入学宣誓式を行いますことは、室蘭工業大学すべての教職員、学生にとって大きな慶びであります。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また長年にわたり勉学の環境を整えられ、本人たちの努力を支えてこられたご家族ならびに関係者の方々にも、心から敬意とご祝辞を申し上げます。

 本年度入学者は、理工学部学士課程の637名、編入学生56名、再入学1名、大学院博士前期課程258名、博士後期課程15名、合わせて967名の皆さんです。この中には海外からの留学生が学部に32名、大学院に20名、合わせて52名が含まれております。また理工学部学士課程入学者637名中、日本人学生の出身地は35都道府県に及んでいます。女子の入学生の数も96名と過去2番目に大きな数字となっています。編入学生、再入学生も含めた学部生694名の入学者に着目しましても、今年は海外からは5ヶ国、32名、道外からの入学生は207名、道内からは455名、となっております。本学の留学生諸君の総数はこの4月で209名と過去最高の数字となっており、教室に、研究室に、大学のキャンパスの至るところにグローバルな環境を有する大学となっています。

 さて、入学宣誓式の本日は、現在本学が取り組んでいる教育改革などホットなニュース、そして皆さんが本学在学中の学生時代にどのようなことを心がけるべきか、身につけるべきかについて、私からの期待を述べさせていただきたいと思います。

 

 国立大学は、それぞれの大学が持つ強み、特色、専門性などを最大限に活かし、社会に貢献すること、さらにその機能を強化、進化させていくことを国民の皆さまに約束しています。 

 本学は「地域貢献」を大きなキーワードとして掲げ、北海道の課題解決は、日本の、さらには世界の課題の解決につながると考えて、教育改革・大学改革に取り組んでいます。新制の国立大学である本学は今年、設立70周年を迎えます。これまで工業大学の工学部として3万人を超える工学士としての同窓生を輩出して参りました。本学はまさにこの4月より,自然豊かなものづくりのまち「室蘭」の環境を活かして、変化が激しい産業界で活躍しつ続ける幅広い理工系人材を育てるための教育改革を行い、工学部から理工学部へと大きく進化しました。ものごとの本質をつかみ、探究心を養うために自然科学・理工学教育を全学的に充実させ、さらにICTやAIの本質を理解して使いこなし、もの・価値づくりに貢献できる学生諸君を育てる工業大学ならではの情報教育を推進します。

 本日、この理工学部に入学された637名の皆さんは、本学の新しい教育を学ぶ、まさに第1期生ということになります。本改革を推進・実施している私としましては、皆さん新入生諸君が本学でどのように育っていかれるか、大いに注目・期待しているところでございます。そして、皆さんご存じのように、今年は5月から元号が変わります。昨日の公表によれば、平成の次は令和です。このような節目の年に入学される皆様は、記憶に残り続ける入学生となることと思います。

 また、学部入学生の諸君が最初に主に学ぶ教室がある講義棟(N棟)については、2年がかりで全面改修工事を進めており、今年度後期までに全ての工事が竣工する予定です。皆さんには少し不自由な時間をおかけすることになりますが、完成後には、学生諸君が積極的に自発的に授業に取り組むことができる、アクティブラーニングの手法を十分に用いる教室が多く整い、学習のための設備も充実させますので期待して下さい。

 

 さて、皆さんはどのような目標・目的をもって室蘭工業大学に入学されたことでしょうか? 学部入学の皆さんはこれから貴重な4年間、大学院博士前期課程、後期課程の皆さんはそれぞれ貴重な2年間、3年間の時間を確保できたことになります。朝から晩まで正々堂々と誰にも気兼ねなく勉強できる、我々社会人からみると、とても貴重でうらやましい時間となります。本学在学中に大いに学び、伸びしろを大きく大きく作りましょう。皆さんにはやがてこれから,長い長い社会人時代が待っています。ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授がLife Shift100年時代の戦略を唱えているように,100年時代を生き抜くための貴重な充電期間となります。本学で、まずは幅広い理工学の基礎、工学と科学の専門基礎知識を学びましょう。そして、先ほども述べましたように、工業大学ならではの情報技術を全学生諸君に身につける教育プログラムを用意しています。歴史学者ユバル・ノア・ハラリのベストセラー、ホモ・デウスでは、AIや情報・コンピュータ科学、生物工学の爆発的進化や先端テクノロジーの使用法、その行く末に警笛を鳴らしています。まずは本学で、AIや情報科学の本質を理解し、工業大学卒業生として必要十分な基礎知識を身につけて、そこから使いこなせる科学技術者を育てたいと考えています。これに応えるよう、皆さんも頑張って学んでください。皆さんが自ら積極的に、能動的に授業に参加してください。

 

 そしてその際、重要なkey wordがあります。毎年新入生諸君に申し上げていますように、「ものごと何でも最初が肝心」ということです。4年間の学生生活のなかで、最初の1年がとても重要となります。最初の1年を順調に乗り切ると、残り3年間も安定した学生生活を送ることができる確率が大幅に高くなります。これは統計的なevidenceに基づいた確かな話です。入学時から卒業時に至るまでの皆さんの大学での成績を統計的に見てみると、本学に限らず、実は入学試験そのものの成績と卒業時の成績にはあまり相関はありません。ところが、1年終了時の成績と卒業時の成績にはかなり強い相関があります。1年生の時から自分のこれまでの人生を振り返り、その上で4年間の学生生活の目標をぜひ設定し、達成するための計画を立てて臨んで下さい。学生時代は、まじめに、真摯に取り組む姿勢、心構え、すなわち努力する姿勢が重要です。

 つい先週のことになりますが、3月27日に,大学の教育リソース(教育資源)や教育成果などの観点からevidenceに基づいて主に教育力を評価したTHE(Times Higher Education)の世界大学ランキング2019の日本版が公表されました。ここでは入学時の偏差値のみが重要ではなく、大学で如何に学ぶか、何を成果として身につけるか、outcomeが重要ということが謳われています。ぜひ、大学での伸びしろを評価して欲しいと考えます。本学は総合で121〜130位であり、道内では5大学がランクインしました。

 また、昨年9月には主に研究力の観点から評価したTHEの世界大学ランキング2019が公表されました。皆さんは世界中にどのくらいの大学があるかご存じですか? 世界中には約23,000校に及ぶ高等教育機関、いわゆる大学があります。本学はその中のTOP5%に相当する1,258校の一つとして1001+の位置にランクインしました。さらに、本学の専門分野である、Engineering & Technology分野では本学は道内では北大に次いで世界で601〜800位にランクインしています。国内の国公私立大学に限ると、72大学のみがランクインし、本学はその中で16〜42位という好位置に入っています。

 また、昨年4月末に公表された朝日新聞出版社の大学ランキングによるとコンピュータ科学分野の論文1報あたりの被引用指数では,なんと本学は日本一に輝いています。このようなevidence に基づいた本学教授陣の裏付けのある確かな研究力をベースとした教育力こそ、本学の実績であり強みであり、私たちが目指す教育改革を裏付ける本学教授陣の体制も万全です。

 とりわけ、最近は若手の元気の良い教員たちの活躍が目立っており、例えばシステム理化学科の董冕雄准教授が「科学技術への顕著な貢献2018(ナイスステップな研究者)として選定されました。本賞は日本中でわずかに11名だけが選出される賞です。今年の1月には柴山文部科学大臣を表敬訪問して、賞状と盾の授与式に出席しました。この制度は科学技術・学術政策研究所(NISTEP)にて、「科学技術イノベーションの様々な分野において活躍し、日本に元気を与えてくれる方をナイスステップな研究者」として選定されるもので、過去にはノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥先生や名古屋大学の天野浩先生も選定されています。いつか、本学からもノーベル賞受賞者が生まれると素晴らしいですね。今年の秋には、本学の設立70周年記念事業の一環として、2015年にノーベル物理学賞を受賞された東京大学の梶田隆章先生を本学にお招きして、ご講演いただくことも予定しています。

 また、北海道地域への科学技術貢献という観点から、本学の若手教員が3年連続で、北海道科学技術奨励賞を受賞しています。本学の山中真也先生を研究代表者とするグループが「口蹄疫・鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化」で平成30年度に受賞しました。平成29年度には、創造工学科の有村幹治准教授が「ビックデータを活用した都市地域計画立案支援モデルの開発と北海道地域社会への実装」の功績により,受賞されました。そして、平成28年度には、システム理化学科の徳楽清孝准教授が「アミロイド凝集阻害物質の微量探索システムの開発と北海道天然資源からの有用物質探索」で受賞されていて、3年連続して、北海道科学技術奨励賞をいただいています。このように、大型の外部資金の獲得に繋がる研究成果をはじめとして,大変頼もしい成果が上がってきています。このような本学の優れた教員たちが,きっと教科書の行間に潜んでいる、科学や工学の面白さを皆さんに専門家の立場から伝えてくれます。ご期待ください。

 最後になりますが、研究に関連して大学院の話をさせていただきます。全国の大学生のうち、国立大学に所属する学部生の割合は約21%であります。一方、国立大学の大学院生の割合は学部生のそれの約3倍の60%に達しており、大学院生が多いことが、国立大学と私立大学の大きな違いの一つです。国立大学の方が,学生さん一人あたりの教員数が多いことがよく取り上げられます。これは理工系大学であれば,教員の研究力の違いとして顕著であり、大学院の重要性につながっています。本学も含めて理工系における国立大学の大きな特徴は大学院の充実ということになります。我が室蘭工業大学においてもこの度は,博士前期課程に258名、後期課程に15名の新入生を迎えました。学長としましては、先ほどから述べておりますように、本学教員の確かな研究力に基づいた教育力により、一層の大学院教育の充実をはかり、室蘭工業大学の特徴,強みを発揮できるようにチャレンジを続けていきたいと考えております。ぜひ、我々室蘭工大の教員の研究力・教育力の優れたところを吸収してください。

 以上、新入生の皆さんに私からの大学生活での心構えと期待を述べさせていただき、入学宣誓式の告辞とさせていただきます。

 

                              平成31年4月2日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 更新年月日:2019年4月2日
作成担当部局:総務広報課総務広報係

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