2013年 学長の年頭挨拶

2013年1月7日

室蘭工業大学長 佐藤 一彦

 

 教職員のみなさま、新年明けましておめでとうございます。
 年末から年初にかけて、地方によっては豪雪や強風の影響による雪害や冬山での遭難事故がありましたが、みなさまは連休をご家族とともに寛いで過ごされたことと思います。私も年末年始の休暇で少し充電することができました。今年もみなさまとともに、本学の発展のために力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 恒例により本日は次年度予算のうち本学に関連する事項をお知らせする予定でおりました。しかし今年は年末に政権交代があり、平成25年度予算の政府原案がまだ編成されておりませんので、本日は予算には触れず、本学が今年取り組むべき課題についていくつか述べ、お許しをいただきたいと思います。

 

 ご存知の通り、昨年の6月、文部科学省は「大学改革実行プラン-社会の変革のエンジンとなる大学づくり-」を発表しました。発表後、このプランに示された国立大学の「一法人複数大学(アンブレラ方式)」や「リサーチ・ユニバーシティ」構想がやや独り歩きを始めた感があります。しかしプランの本体が大学機能の再構築と大学ガバナンスの充実・強化の二つにあることは明白です。したがって今年私たちが取り組むべき課題もこの二つに関連付けてみることが有益かと思います。

 

 そこで初めに教育機能の再構築についてですが、今年は大学院の改組再編に向けて最終的な準備を進めてまいります。昨年12月に設置した準備委員会が具体的な検討と成案作業の場となります。関係の委員の方々を中心に、大学院担当教員、事務局のみなさんのご協力をお願いいたします。準備が整い次第、文部科学省との事前相談を再開いたします。これまでは大学院の改組再編を先行させてきましたが、学士課程も改組再編から4年経ちましたので、自己点検評価、それに基づく外部評価を実施し、必要に応じて学科・コースの編成および入学定員、ならびに教育課程や教育方法の見直しを行います。なお、これに先立って、夜間主コースのあり方については本年度、学長の特命事項として理事補の方々に検討を依頼し、答申をいただいておりますので、学内の合意を得たうえで、文部科学省に事前相談をする予定でおります。
 つぎに研究活動の強化について述べたいと思います。10年程度のスパンで考えますと、着手すべき課題がいくつかあります。その一つは本学が重点研究分野として定め、それを推進するための組織として設けた各種センター等のあり方についての検討です。この課題も本年度の学長の特命事項として理事補の方々に検討いただいております。
 本学には環境を冠に戴くセンター等が、本年度スタートした環境調和材料工学研究センターも含め、3つあります。昨年12月7日に開催された経営協議会において、本学のミッション再定義の議論いただいたときにも、環境に関する研究の大切さは疑いないが、将来的には3つの組織の整理が望ましいという意見をいただきました。また平成11年度に設立されたSVBLも14年を経てミッションと組織形態の見直しの時期に来ていると思われます。幸い本年度は本学の研究活動に関する自己評価と外部評価を行っております。評価の対象には、教員全体の研究活動に加えて、研究センター等も入っておりますので、その結果も参考に、できる限り速やかに今後の方向を示したいと考えております。

 

 地域における知の拠点としての機能について、「大学改革実行プラン」では新たに Center of Community (頭文字をとってCOCと略称)という構想が示されました。私たちがこれまで地域貢献と呼んできた機能と重なり合いますが、COC構想では、大学が従来の地域貢献よりももっと主体的、積極的に地域の活性化ないし地域振興に関与することが求められている、と私は受け止めております。このような意味での大学の役割に対する地域社会からの期待や要望にはかなり根強いものがあり、しかも切迫していることを実感させられる機会が数多くあります。具体的には、昨年12月4日の市民懇談会で話題になった学生によるCommunity Serviceの活動、本学の教員が中心となったNPOによるシップ・リサイクルの事業化、さらに地熱エネルギーの開発利用や石炭の地下ガス化など、エネルギーの「地産地消」実現に向けた関連業界や関係自治体からの熱心な要望と働きかけ等々、を挙げることができます。幸い、本学では地域貢献の優れた実績と組織体制が整っております。今年はCOCを明確に意識し、社会連携統括本部が中心となって新たな展開を図りたいと思います。

 

 これまで述べた教育機能の再構築、研究活動の活性化、地域における知の拠点機能の強化を図るには、大学ガバナンスの充実・強化と学長のリーダーシップが強く求められます。大学ガバナンスに関して今年の重要課題は本学のミッションの再定義です。本学の自主的・自律的な立場を堅持すべきことは勿論ですが、この作業は文部科学省との協働になりますので、各種エビデンスなど客観的なデータからも目を逸らさず、また学外者からの意見にも謙虚に耳を傾け、本学が将来の進むべき方向を誤らないようにしたいと考えております。
 また学長のリーダーシップが求められる分野は多岐にわたりますが、今年どうしても学内の合意を目指したいことがあります。それは教員の多様性の拡大、具体的には、教員に占める女性と外国人の比率を着実に引き上げることです。目標はすでに関係の委員会で示してありますのでここでは述べません。男女共同参画社会の実現、グローバル人材の育成は、わが国が活力を維持し持続的な発展を図るために欠くことができない課題です。それはまたそっくり本学の課題でもあります。組織の活性化を図り、グローバル人材の育成を進めるうえで、女性と外国人が多大な役割を果たし効果をもたらすことは、先進的な企業や大学に豊富な実証データがあります。しかもその実現は組織のトップの強い意思によることも多くの実例が示しております。私もこれらの先例に倣いたいと考えております。

 

 以上、年頭にあたり、本学の今年の課題をいくつか述べさせていただきました。今年の干支は巳年。巳年の動物のヘビは脱皮することから「復活と再生」のシンボルとも言われます。安倍総理は年頭の記者会見でヘビに託して商売繁盛、日本経済の復活と再生を期待したようですが、竜頭蛇尾とならないように願いたいと思います。
 それではみなさん、本年も一年、気持ちを新たにして本学の諸課題に取り組んでまいりましょう。みなさまのご健勝とご活躍、そして本学と地域の発展を祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

 

 

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