平成27年度室蘭工業大学入学宣誓式 告辞

 室蘭にも春が訪れた本日、ご来賓ならびに名誉教授の諸先生のご臨席のもと、平成27年度入学宣誓式を行いますことは、室蘭工業大学すべての教職員、学生にとって大きな慶びであります。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本年度入学者は、工学部学士課程の641名、編入学生33名,大学院博士前期課程237名、博士後期課程18名、合わせて929名の皆さん です。この中には海外からの留学生が学部に15名、大学院に22名、合わせて37名含まれております。また学部入学者674名中、女子学生は77名、率にして11.4%、日本人学生の出身地は32都道府県に及びます。また長年にわたり勉学の環境を整えられ、本人たちの努力を支えてこられたご家族ならび関係者の方々にも、心から敬意とお祝辞を申し上げます。 さて入学宣誓式の本日は、本学在学中の学生時代にどのようなことを心がけるべきか、身につけるべきかについて、新入生の皆さんに私からの期待を述べさせていただきたいと思います。

 

 実は私自身も、4月1日に本学の学長に就任したばかりであり、新しい立場で皆さんをお迎えするという点では、新入生の皆さんと同じかもしれません。私は、ちょうど学士課程に入学の皆さんが生まれた頃、1996年10月に理化学研究所から本学に助教授として着任しました。それから18年半たち、今年度は皆さんを大学を代表してお迎えすることになりました。偶然ではありますが、皆さんが大学へ入学されるまでの約18年間と私の室蘭工大での18年間の仕事が重なって感じられます。

 

 18年前でも現在でも全く変わりませんが、大学生として身につけるべきことの1番は、工学基礎知識に基づいた論理的思考能力につきると思います。まじめに、愚直に、基礎知識を身につけ、そのうえで課題を直視して堂々ととりかかる姿勢が重要です。皆さん、大学においても勉学もまじめに、真摯に取り組んでください。

 推薦入試も含めて、大学受験をクリアして、本学に入学された皆さんは、本学での学びを充実させ、勉強する資格、能力をもってこの入学宣誓式に臨んでいます。大学は、皆さんが社会へ旅立つ直前の、最後の準備期間と言えます。朝から晩まで正々堂々と勉強できる、おそらく皆さんにとって最後の期間となります。我々、教員は勉強することを職業としている特殊な職業人であり、一般的な社会人の方と比べると、自由に使える時間が多いと思われるかもしれません。しかしながら、自分のための勉強ができる時間は,様々な大学業務をこなした後の、わずかな時間しかありません。繰り返しになりますが、学生諸君には、正々堂々と勉強できる時間が十分に約束されています。この貴重な時間を是非、大切に、有意義に過ごしてください。

 

 さて大学での学びを充実させるには、入学当初から、大学の4年間で何を学ぼう、何を修得しようと考えること、簡単に言えば、目標をもつことが重要です。目的意識を持って、大学生活の4年間を充実させてください。もう、ずいぶん昔のこととなりますが、私の学生時代を振りかえると、お金はありませんでしたが、時間はたくさんあったような気がします。しかし、4年生になり卒業研究が始まると、もっと勉強しておけば良かったと強く思いました。そこから勉強をやり直した経験が今でもはっきり思い出されます。大学生になったときの、目的意識がまったく足りませんでした。

 4年間の学生生活のなかで、とりわけ最初の1年はとても重要です。最初の1年を順調に乗り切ると、残り3年間も安定した学生生活を送ることができる確率がかなり高くなります。入学時から卒業時にいたるまでの皆さんの大学での成績を統計的にみてみると、入学試験そのものの成績と卒業時の成績にはあまり相関がありませんが、1年終了時の成績と卒業時の成績にはかなり強い相関があります。大学に入学したことで、ほっと一安心し、目標を失いがちになっているかもしれませんが、1年生の時から自分のこれまでの人生を振り返り、その上で4年間の学生生活の目標をぜひ設定し、達成するための計画を立てて臨んで下さい。学生時代は、まじめに、真摯に取り組む姿勢、心構えすなわち努力する姿勢が重要です。やがて、社会にでて、企業等に入社して、仕事に対する成果を求められるようになると、もう少し厳しくなり、努力するプロセスとともに、成果、結果もより重要となってきます。

 室蘭工業大学では、国際的な水準で認められる技術者教育に力をいれて取り組んでいます。主体的に授業に参加し、授業時間を有意義に過ごしてください。ご存じのように、大学は単位制をとっており、各科目において一定レベルの成績、達成度を残さないと、その科目を修了すること、すなわち単位を修得することができません。一つ一つの科目に、その授業の到達目標があり、それを目指して、皆さんは勉強することになります。本学の教員は、それぞれの担当科目の専門家です。担当科目に関連する研究分野で、世界で初めての研究成果を学術論文として発表したり、教科書を自ら書いている先生も少なくありません。そんな大学の先生と一緒に学べるのは素晴らしいことではありませんか? 皆さんの希望に満ちた貴重な時間を、是非有意義に過ごしてください。

 ただ、世界で初めてのことを発表しても学術論文にはなりません。私の授業や研究室のゼミでは良く、たとえ話で紹介していましたように、私の専門は「微粒子工学」、粉屋さんですが、例えば、室蘭工大のグラウンド中の砂粒の数を数えれば、世界で初めての結果でしょう。しかし、学術論文にはなりません。世の中の役に立ちませんし、だれも参考文献として引用してくれません。社会に貢献できる、すなわち、いろいろな研究で、参考文献として引用されることが学術論文としての価値があります。そのような研究成果に裏付けされた大学の授業を大いに積極的に楽しんで学んで下さい。

 また、私の学生時代の話に戻りますが、ちょうど4年生の卒業研究が終わって、大学院の博士前期課程に進む3月末に、B.E. ノルティンク著の「研究人間」—創造的科学技術者への道—という本を読みました。この研究人間という本は50年も前に出版されたものですが、そこにも、研究論文の価値は、どれだけ他の人に引用されるかにあるとあります。人の役に立つ、人から参考にされて、社会に貢献できる研究が重要だと言うことは、この時代から指摘されていましたが、最近は、ますますこの傾向が強くなっています。

 さて、冒頭に紹介しましたように、この4月に37名の留学生を迎え、留学生数は132名、教職員のなかにも、英語のネイティブ教員4名、ドイツ語のネイティブ教員1名、中国語のネイティブ教員1名、また、専門学科等にも、建築社会基盤系に1名、機械航空創造系に2名、応用理化学系に1名、情報電子工学系に1名の外国人教員がいます。学部、大学院の授業だけではなく、本学の環境も様々な観点から、グローバル化しています。最後になりますが、本学は西胆振地区で唯一の国立大学であり、本学には学生諸君だけでも3300人以上が在籍し、教職員を含めるともっと多くの人々が、一緒に学び一緒に育っていく、大きなグローバルなコミュニティを形成しています。学生諸君同士、教職員や30000人以上の同窓生の皆さんも含めた室蘭工業大学そのものが、皆さまにとっては、単に学習の場であるだけではなく、プレ社会としての役割を担っています。大人への、そして社会へ出る最後の準備期間として本学の大学・大学院生活を是非充実させてください。

 以上をもちまして、私からの、入学宣誓式の告辞とさせていただきます。

 

                              平成27年4月6日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 

更新年月日:2015年4月13日

作成担当部局:総務グループ総務ユニット

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