2017年 学長の年頭挨拶

2017年1月4日

室蘭工業大学長 空閑 良壽

 

 教職員の皆さま、新年明けましておめでとうございます。年末年始のお正月休みの間、皆さまリフレッシュされて、2017年を迎えられたことと思います。仕事始めの本日は、初めに本学名誉教授の叙勲についてご紹介し、その後は昨年度からの予算関連の動きと第3期中期目標期間2年目に向けて、本年度取り組むべき課題についてお話しさせていただきます。

 まず、昨年の春と秋の叙勲における本学関係者の受賞についてご紹介いたします。昨年の春には教育研究功労により、本学名誉教授・原弘先生が瑞宝中綬章を受賞されました。原先生の専門は、化学工学・計測工学分野であり、在職中は、情報工学科の初代学科主任や初代SVBL長などを歴任されました。秋の叙勲では、鉱山工学科、開発工学科、材料物性工学科でクリーン分析技術と質量分析法を組み合わせた超微量元素分析を行われた白幡浩志名誉教授が同様に瑞宝中綬章を受賞されました。誠におめでとうございます。

 つづいて、平成29年度予算関連の動きをご紹介します。国立大学法人全体の機能強化促進費を含む運営費交付金等総額は、28年度で下げ止まり、29年度は、わずかですが増額されています。本学への予算配分については、個々の予算については詳細な分析が必要ですが、総額ではやはりわずかに増額になっています。ここでは年末の挨拶とも重複いたしますが、いくつか大きなトピックスを紹介させていただきます。
 懸案でありました講義棟(N棟)の改修工事Ⅰについて、伊藤理事や施設課、事務局の努力の甲斐があって、29年度、30年度の2ケ年度事業として、予算が措置されました(工事の主体は29年度後期)。N棟改修はⅡ期工事を以て完結することから、引き続き当局への要望を強めていきたいと思っています。
 また、機能強化経費の予算については、戦略2(地域課題解決に向けた活動の推進)における「地域連携体制の充実、強化、社会連携統括本部の充実」として約1600万円を獲得することができました。戦略2の更なる実践に向けた体制整備ができることになります。
 いずれにしても、今後も機能強化の進捗や結果を求められますので、一層の戦略的大学運営を進めて参る所存です。ご協力よろしくお願いします。

 続いて話題を平成29年度の課題に移します。
 教育力について、まず初めに学部教育については、平成21年度において学部を改組して8年が経過し、卒業生も4期に渡って輩出していますが、その間、大学を取り巻く環境は大きく変化し、本学への交付金の削減は平成16年度と比較して12年間で約7億円も削減され、厳しい大学運営を強いられるとともに、激しい競争環境に置かれています。
 また、社会情勢も劇的に変化し、人口減少の顕在化と本格的な高齢化社会の到来による経済活動の縮小と産業構造の変化、都市部と地方の格差が益々広がるなど、日本全体も大きな変革の波にさらされています。
 こういった背景から、大学に求められる役割は重要で、特に理工系人材育成への期待として、国が設置した「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」において、社会の変革に対応できる理工系人材育成を強く求めており、本学においても「工学部」から「理工学部」への改組計画を推進しています。 
 現在、「本学が必要と考える新たな人材育成像」、「地域の課題を解決するために地域が求める人材像」、「そのために必要な新たなカリキュラム構成」などを中心に文部科学省と重ねて議論をしていますが、まだ充分な理解が得られていない状況にあり、今一度学内において、議論を尽くす必要があります。
 本学は、将来においても、科学技術に夢を抱く多様な学生を受け入れ、そして社会や地域課題を解決できる、社会が欲する学生の姿のエビデンスを示しつつ、明確に描きながら、今年こそ、その教育体系を構築し、他大学との競争に負けない差別化を図った教育改革を行いたいと思っております。来週早々からの改組準備委員会を再稼働させていただきますので、皆様のご協力とともに、議論を活性化させていきましょう。
 また、大学院に関しては平成26年度に改組再編し、博士前期課程においては昨年度改組後初めて、博士後期課程への進学者6名を含め約200名の修了者を輩出し、製造業・建設業・情報通信業を中心に活躍しているところです。また、今年度末には、博士後期課程修了者の輩出も予定しており、大学院教育も今後益々期待されるところです。


 研究力については、昨年から「研究論文の評価のあり方」について企画戦略会議や研究推進室にてご議論頂き、各コースからも特に研究分野特有の事情をお聞きしたうえで、「論文の質」について検討しているところです。
 私の目指す研究力の評価は、「論文の質」だけに拘るものではありません。申しあげるまでもなく、研究者の本分は社会を豊かにする手段として、研究の成果を社会に還元することであり、その手段の一つとして学術論文を世に送り出すということだと考えています。学生諸君の卒論、修論あるいは博士論文の仕事とともに、実験やデータをとり蓄積しても、その結果をまとめ、学術論文等を通して社会に公表、発信しなければ、研究者としては何もしていないことと同じです。もっと厳しく言えば、我々教員一人一人のポストと人件費そして研究室スペースの維持費を考慮すれば、なにも研究成果を発表しないことは、研究力の観点だけで見れば、室蘭工業大学にとっては、0ではなく、マイナスということになります。
 もちろん学術研究の成果、活動は多種多様な場所において公表・提供されるべきと思っています。ここで研究に没頭され、その結晶としてまとめ上げた論文の評価は研究業績の尺度として必要であることはいうまでもありません。
 高いクオリティーを求めることは勿論ですが、社会や地域、そして学協会からの評価を得る論文を書くこと、そして、その評価が質となるものと思っています。
 来年度以降、研究力の評価として「教員の多面的評価システム(ASTA)」における「学術論文の区分」を改めるとともに「評価配点を細分化」することによって、本学における論文総数とその質の向上を図りたいと考えております。詳細については決まり次第報告します。
 また、それぞれの研究ユニットには、ユニットとしての研究の計画とその実行の重要性を全教員が意識できるように働きかけを行っています。研究計画の立案とその実施、そのためのユニット教員間のディスカッションや検討の場、機会を設けることが重要であり、結果的に研究ユニットの研究活性化が図られることを期待しています。また、本学では、若手研究者採用による研究活動の活性化を進める人事計画を実行しており、これに合わせて、若手教員が活躍できる環境整備、自立性を重んじつつ、研究ユニットのしっかりとした指導・支援体制を確立し、研究ユニットでディスカッションする機会をもつことが重要と考えています。それをベースとした個々人の研究計画の立案とその実施、その成果が大学全体の研究活性化の成否に大きく関わることは言うまでもありません。

 つづいて入学志願者の確保についてです。冒頭にも述べましたように、日本全体の18歳人口は、2009年から2017年までは約120万人を保って、ほぼ横ばいでしたが、来年から今後14年間で100万人を切るところまで減少します。しかも道内の18歳人口の減少ペースは全国よりも速く進んでしまいます。
 今朝の日経新聞にも、「選ばれる大学へ動く」ということで、18歳人口減少の2018年問題という特集が組まれていました。このような背景の下、道内志願者はもちろんのことですが、関東、東京等の都市部をターゲットとした入学志願者確保は必然の状況に来ています。既にアドミッションオフィスではその検討を開始しております。

 最後になりますが、今年度は、第3期中期目標期間の2年目の年となります。ここで紹介した課題の解決をはじめとして、様々な計画の実現に向けて、執行部一丸となって、課題に取り組んで参ります。教職員の皆様もご協力どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本年の年頭の挨拶とさせていただきます。

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