2018年 学長の年頭挨拶

2018年1月5日

室蘭工業大学長 空閑 良壽

 

 教職員の皆さま、明けましておめでとうございます。年末年始のお正月休みの間、皆さまリフレッシュされて、平成30年を迎えられたことと思います。本日は、初めに本学名誉教授の叙勲についてご紹介し、その後は昨年度からの予算関連の動きと第3期中期目標期間も中盤となる3年目に向けて、本年、取り組むべき課題についてお話しさせていただきます。

 まず、昨年の春の叙勲における本学関係者の受賞についてご紹介いたします。教育研究功労により、本学名誉教授・中尾好隆(なかおよしたか)先生、野村滋(のむらしげる)先生のお二人が瑞宝中綬章を受賞されました。お二人とも、ご専門は、電気電子工学であり、在職中は、電気電子工学科の学科長などを歴任されました。誠におめでとうございます。

 つづいて、平成30年度予算関連の動きをご紹介します。国立大学法人全体の機能強化促進費を含む運営費交付金等総額は、28年度で下げ止まり、29年度は、わずかですが増額、そして30年度は運営費交付金そのものは44億円の減額で、10882億円、機能強化促進経費が44億円増で、トータルとしては29年度と同額となっています。一言で言えば総額は29年度と変わりませんが、さらに競争的に獲得する必要がある予算枠が拡がったということになり、予算獲得のための努力がより一層重要となります。
 本学への予算配分については、第2期中期目標期間全体の評価結果に対する配分があり、詳細は省きますが35ポイントであり、基本分の配分はされます。しかしながら、36ポイント以上の大学に加算される評価分の配分には惜しくも一歩届きませんでした。なお、第3期の平成29年度機能強化分の評価については、結果は後日送付ということで、まだ情報が入っておりません。
 さて懸案でありました講義棟(N棟)の残り2/3の改修工事IIについては、30年度、31年度の2ケ年度事業として、無事予算が措置されましたので、N棟全体の改修が進むこととなります。
 いずれにしても、今後も機能強化の進捗や結果がこれまで以上に求められますので、一層の戦略的大学運営を進めて参る所存です。ご協力よろしくお願いします。

 続いて話題を平成30年度の課題に移します。
 教育力について、学部教育については、平成21年度の学部を改組以来、社会情勢も劇的に変化し、人口減少の顕在化と本格的な高齢化社会の到来による経済活動の縮小と産業構造の変化、都市部と地方の格差が益々広がるなど、日本全体も大きな変革の波にさらされています。
 こういった背景から、大学に求められる役割は重要で、特に理工系人材育成への期待として、国が設置した「工学教育のあり方検討会」「第4次産業革命 人材育成推進会議」「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」において、社会の変革に対応できる理工系人材育成を強く求めており、本学においても「工学部」から「理工学部」への改組計画を推進しているところであります。 
 現在、「本学が必要と考える新たな人材育成像」、「地域の課題を解決するために地域が求める人材像」、「そのために必要な新たなカリキュラム構成」などを中心に文部科学省と重ねて議論をしており、もうひと押しの段階に来ています。
 本学は、将来においても、科学技術に夢を抱く多様な学生を受け入れ、そして社会や地域課題を解決できる、社会が欲する学生の姿のエビデンスを示しつつ、明確に描きながら、今年こそ、その教育体系を構築し、他大学との競争に負けない差別化を図った教育改革を行いたいと思っております。皆様のご協力よろしくお願い致します。
 つづいて入学志願者の確保についてです。来年2月に行われる個別学力試験においては、いよいよ本学も東京会場を設け、関東、東京等の都市部をターゲットとした入学志願者確保を本格化させます。東京事務所を拠点とした入試広報にも力を入れていきたいと考えています。もちろん大学院博士前期課程、後期課程に関しても引き続き入学志願者の確保は最重要課題であり、その教育・研究の中身の充実が最優先であります。
 研究に関しては、論文の数とともに質にもこだわり、他者に引用される研究成果につなげて欲しいと思います。嬉しいことに、平成28年、29年の本学から出版されたWeb of science論文数は、平成27年以前の5年間の傾向と比べると着実に増加傾向にあります。
 昨年も申し上げましたように、私の目指す研究力の評価は、「論文の質」だけに拘るものではありません。研究者の本分は社会を豊かにする手段として、研究の成果を社会に還元することであり、その手段の一つとしてまずは学術論文を世に送り出すということだと考えています。学生諸君の卒論、修論あるいは博士論文の研究のなかで、実験やデータをとり蓄積しても、その結果をまとめ、学術論文等を通して社会に公表、発信しなければ、研究者としては何もしていないことと同じです。もっと厳しく言えば、我々教員一人一人のポストと人件費そして研究室スペースの維持費を考慮すれば、なにも研究成果を発表しないことは、研究力の観点で見れば、室蘭工業大学にとっては決して0ではなく、マイナスということになります。まずは、社会や地域、そして学協会からの評価を得る論文を書くことが重要です。
 また若手教員が活躍できる環境整備が重要であり、自立性を重んじつつ、研究ユニットでのしっかりとした指導・支援体制を確立して、研究ユニットで教員同士がディスカッションする機会をもつことがより必要だと考えています。このような議論を通して、個々人の研究計画の立案とその実施、そしてその成果としての論文発表(質と総数の両方が問われます)や外部資金の獲得が、大学全体の研究活性化の成否に大きく関わることは言うまでもありません。大学執行部としては、研究ユニットとしての研究計画の立案と着実な実施を予算支援などの仕組みと合わせて、推進しているところです。さらには、「地域連携体制の充実、強化、社会連携統括本部の充実」の一環として、吉成CRDセンター長の着任、富谷URAの採用をはじめとして、組織的に社会連携、共同研究の推進をサポートしております。本日の日経新聞にでておりましたように、第一生命の小学生以下の子供たちへのアンケート調査の結果が出ておりましたが、男の子の一番なりたい職業は「学者・博士」が15年ぶりに返り咲いたそうです。私たちも誇りをもって頑張りたいものです。
 さて、昨年3月30日に公表された英国ロンドンに本拠地を置く、THE(Times Higher Education)世界大学ランキング2017の日本版について述べます。ここでは、年末の教授会でも触れましたように、大学入学時の学生諸君の学歴、いわゆる偏差値に代表される入学校歴による評価ではなく、大学での教育・研究の内容、そこでの学生諸君の満足度、企業等から見た卒業生の評価などに基づくものであり、大学でどのようなことを身につけたか、学修したかをみる学修歴が重要であり、大学の教育資源(教育リソース)、教育満足度(高校教員から見た人材育成に対する評価)、教育成果(企業人事と研究者からの評価)、国際性などの評価軸からevidenceに基づいて評価されるものです。本学は総合順位が100〜110位ということで、北海道内の国公私立大学のなかで、北海道大学についで2番目に良い評価でした。平成30年は学生諸君の満足度の評価も加わると聞いています。入学時の偏差値が重要ではなく、大学で如何に学ぶか、何を成果として身につけるか、outcomeが重要ということの一例であり、ぜひ、100位以内のrank inを目指したいものです。THE(Times Higher Education)世界大学ランキングそのものは、より研究力の評価が重要な要素となっており、研究のお話のところで述べたように、研究環境を整備し、本学も世界のTOP5%の大学を目指して、研究力の強化を図りたいと考えています。留学生をはじめとして、大学院生の志願者確保にも重要だと思います。
  
 最後になりますが、平成30年は第3期中期目標期間も3年目となります。ここで紹介した課題の解決をはじめとして、様々な計画の実現に向けて、執行部一丸となって、課題に取り組んで参ります。教職員の皆様もご協力どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本年の年頭の挨拶とさせていただきます。

 

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