平成28年度学位記授与式 告辞

 春分を迎え春を感じ始めた本日、ご来賓並びに名誉教授のご列席のもと、学部卒業生、大学院修了生およびご家族、ご親戚の皆さまとともに平成28年度学位記授与式を行いますことは、室蘭工業大学にとりましてまことに慶ばしく、ご列席の皆さまとともにこの喜びを分かち合いたいと存じます。

 本日、晴れて学部を卒業し学士(工学)の学位を得られた方は598名、大学院博士前期課程を修了し修士(工学)の学位を取得された方は227名、また大学院博士後期課程を修了し博士(工学)の学位を授与された方は11名おります。また卒業生・修了生の中には外国人留学生が35名おります。

 これら836名の皆さんに、学位の取得並びに卒業・修了を心からお祝い申し上げます。また皆さんの入学から今日まで、修学を励まし支えてこられたご家族並びに関係者の方々に敬意とご祝辞を申し上げます。

 さて今日は学位記授与式に当たり、皆さんがこれから飛び出す新たな社会について少し想いをめぐらし、私からの期待を述べさせていただきます。

 

 昨年の学位記授与式では、日本経済の復活・活性化を目指したアベノミクスの取り組みのなかで、TPP交渉もなんとかまとまったというお話をしましたが、今年になっていよいよ米国はトランプ政権が活動を開始し、TPP離脱の方針を打ち出すなど、1年前とは状況が変わってきています。また、現在はトランプ大統領の経済政策への期待から米国の株価は史上最高値を記録するなど、直近の経済の動向すら予測がつかない状況です。昨年6月にはイギリスのEU離脱といった衝撃的なニュースもあり、世界経済にも大きな影響を与えました。

 このような世界情勢の話に限らず、皆さんの身近なところでも、社会に出てから皆さんが直面する課題・問題は、そもそもいつその課題にぶつかるかもわかりませんし、課題が出てきた時に、それに対する正解を見つけようとしても、これが正解という明確な解はなく、もっと言えば、解があるかどうかすらわからないものもあるかもしれません。そんなとき、皆さんはどのように対応すればよろしいのでしょうか?

 本日、卒業・修了される皆さんは、室蘭工業大学における学びのなかで、講義・演習で自らの頭をフル回転させているときに、あるいは実験やその後のレポートの考察の際に、そして仕上げとなる、卒業研究や大学院での研究課題に取り組む際に、答えがあるかどうかわからない問題・課題に遭遇した経験が幾度となくあったことと思います。

 卒業して新しい環境で社会や職場での課題にぶつかったとき、学生時代に答えがわからない課題にぶつかったときの体験、そこから自分で調べたり、ゼミの同僚、先輩、指導教員と相談したり、ヒントをもらったりしながら、課題解決へ向かった体験を思い出してください。学生時代に身につけた知識や手法が、そのまま会社や次のステージでそのまま活かせるケースはほとんどないと思いますが、皆さんが本学で学び、経験した時間そのものが大きな力となると信じています。

 皆さんは、大学での1年間の卒業研究を含む4年間の学び、博士前期課程での2年間の学びと修士論文の研究、そして博士後期課程の皆さんは、さらに3年間の研究と、その成果を世界で初めての科学的・工学的知見を含んだ論文としてまとめ、世界に公表する経験を積んで、本学を旅立って行くことになります。学士課程の卒業研究、博士前期課程での修士論文研究、そして博士後期課程での博士論文研究、それぞれレベルの差異はありますが、答えが見えない課題に対して、オリジナリティをひねり出したあるいはひねり出そうと努力した体験・経験は皆さんの宝物です。この経験を時に思いだし、それぞれのステージで、また頑張っていただけるよう、期待しています。

 

 さて、皆さんはこの室蘭の地で、学部卒業生は4年間、博士前期課程修了生はさらに2年間、博士後期課程は3年間という長い間本学に在籍され、その間に、様々な人たちとの交流、つながりができたとことと思います。学生諸君同志のつながり、コミュニケーション、我々教職員とのつながり、さらには室蘭での生活を通して多くの室蘭市民との交流もあったかもしれません。大学は、学術的な知識や論理的な思考方法を身につけるだけではなく、これから社会に旅立つ前の、ミニ社会ともいうべき、室蘭工業大学というキャンパスでの生活、いわば社会体験を修得する場所であったと思います。例えば、簡単な演習問題でも、友達と協力して学んだり、グループ学習したり、グループでディスカッションするなかで、新しいアイデアや解決に近づいた経験があったことでしょう。研究は、最後は自らがなんとかひねり出す「オリジナリティ」が勝負どころとなりますが、そこにたどり着くまでの、周囲の皆さんとの協力関係はとても重要です。

 これだけ、社会や産業界が多様化し、しかもそこに要求される技術や要素の変化が急速に進んでいる今日、一人の力でやれることは多くありません。好むと好まざるとに関わらず、自分の周囲の人たちとのコミュニケーションがとれること、協力しあえること、互いにバックアップしてもらえる体制づくりが重要となります。本学は、学部生、大学院生合わせて学生諸君だけでも3,000名近い皆さんが、室蘭水元のキャンパスに集い、我々教職員も含めれば3,300名以上の人々が、皆さんの学びの時間を中心につながったミニ社会を形成しています。そこでの皆さんと周囲の人とのつながり、交流の経験を、皆さんの財産としてください。

 また、本日旅立つ学生諸君のなかには、外国人留学生の皆さんもいます。日本に残って活躍する人、自分の国に戻って活躍する人と様々でしょうが、室蘭工業大学、室蘭の地とのつながり、日本とのつながりは、皆さんの大きな財産ですし、是非大事にしてください。留学生の皆さんのおかげで英語でのコミュニケーション、異文化交流など本学キャンパスのグローバル環境も少しずつではありますが整いつつあると思います。

 

 さて本日は本学での学びを通して、「課題解決に向けて、オリジナリティを見いだす努力と周囲との協調を大事にする」ということを皆さんは身をもって経験されたということをお伝えしました。皆さんの次の新しい環境で思い出していただければと思います。

 

 最後になりますが、皆さんの周りにはたくさんの応援団、仲間がいます。本学の同窓生だけでも30,000人を超えており、先輩たちが皆さんの活躍を期待と温かい目で見守っています。繰り返しになりますが、本学で身につけた知識、能力、様々な経験をもって、新しい世界・社会へ飛び出してください。

 室蘭工業大学もこれからも皆さんとともに、日本の輝かしい未来に向かって、教育と研究そして社会への貢献を大きな柱として歩みます。皆さんのご健勝とご活躍を祈念し、学長告辞といたします。

 

                              平成29年3月23日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 

更新年月日:2017年3月24日

作成担当部局:総務広報課総務係

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