平成29年度入学宣誓式 告辞

 室蘭にも春が訪れた本日、ご来賓ならびに名誉教授の諸先生のご臨席のもと、平成29年度入学宣誓式を行いますことは、室蘭工業大学すべての教職員、学生にとって大きな慶びであります。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本年度入学者は、工学部学士課程の627名、編入学生53名、大学院博士前期課程215名、博士後期課程11名、合わせて906名の皆さんです。この中には海外からの留学生が学部に32名、大学院に13名、合わせて45名含まれております。また学士課程入学者627名中、女子学生は100名、率にして15.9%となり、これまでの最高の人数、数値となっています。日本人学生の出身地は36都道府県に及んでいます。

 また長年にわたり勉学の環境を整えられ、本人たちの努力を支えてこられたご家族ならび関係者の方々にも、心から敬意とご祝辞を申し上げます。 さて、入学宣誓式の本日は、本学在学中の学生時代にどのようなことを心がけるべきか、身につけるべきかについて、新入生の皆さんに私からの期待を述べさせていただきたいと思います。

  学部生680名の入学者だけに着目しましても、今年は海外からは2ヶ国、32名、道外からの入学生は207名、30.4%、道内からは441名、64.8%となっております。本学は、全国そしてアジア圏から学生諸君を受け入れ、日本全国へあるいは世界へ学生諸君を送り込んでいる工業大学であり、教室に、研究室に、大学のキャンパスのあちこちにグローバルな環境を有する大学であります。この留学生の諸君の総数はこの4月で152名と過去最高の数字となっています。

 国立大学は、それぞれの大学が持つ強み、特色、専門性などを最大限に活かし、社会に貢献すること、さらにその機能を強化、進化させていくことを国民の皆さまに約束しています。

 本学は、「主として、人材育成や地域課題を解決する取組などを通じて地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界ないし全国的な教育研究を推進する取組等を第3期の機能強化の中核とする国立大」という分類を選び、「地域貢献」が大きなキーワードとなっています。   

 本学は北海道地区の代表校となって、道内の北見工業大学、北海道科学大学、千歳科学技術大学とともに、道内の4つの工業高等専門学校とも連携して、平成27年度の文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生事業(COC プラス)」に採択され、「オール北海道雇用創出・若者定着プロジエクト」を推進しています。その事業のなかでは昨年度から「地方創生推進教育プログラム」を開設し、新しい「地域課題解決型」の授業が始まっています。

 学部の新1年生の皆さんは、早速、室蘭の街などへ出て行く、自らが能動的に授業に関与するアクティブな授業に取り組んでもらうことになります。

 

 さて、皆さんはどのような目標・目的をもって室蘭工業大学に入学されたことでしょうか?本学へは、皆さん志高く、入学されてきたことと推察しますが、もしかすると、漠然と本学に入学された諸君も一部いるかもしれません。

 学部入学の皆さんはこれから貴重な4年間、大学院博士前期課程の皆さんは貴重な2年間、大学院博士後期課程の皆さんはさらに3年間の時間を費やし、そして学費を払い就学されるわけですが、世の中に無駄にしてよい時間やお金などありません。大学は、皆さんが社会へ旅立つ直前の、最後の貴重な準備期間です。朝から晩まで正々堂々と勉強できる、おそらく皆さんにとって最後の期間となります。当然ですが、社会人になると、勉強が好きな我々教員であっても、自分のための勉強ができる時間は、一日仕事に追われた後の、わずかな時間しかありません。皆さんには、正々堂々と勉強できる時間が十分に約束されています。この貴重な時間のなか、明確な目的意識を持って学んでください。

 まずは、理工学の基礎、工学と科学の基礎知識を学びましょう。基礎知識の学びはえてして退屈なことが多いかもしれませんが、頑張って学んでください、皆さんの脳細胞を活動させてください。本学では、皆さんが自ら積極的に、能動的に授業に参加していく、active learningの手法を授業に取り込んでいます。また、教える側の私たち教員のほうですけれども、室蘭工大の教員は、自ら教科書を書いたり、研究成果を日本や世界の雑誌に論文として発表し、教科書のベースとなる新たな研究成果を社会に発信したりする研究者でもあります。室蘭工大の教員は、教育者、研究者として世界で初めての発見、科学的あるいは工学的知見を見いだそうと、いつも教育と研究に励んでおります。世界ではじめてのこと、しかも社会にいつか役に立つことを見いださないと、世界中の研究者から認められる研究論文をつくることはできません。そんな教員たちが、きっと教科書の行間に潜んでいる、科学や工学の面白さを皆さんに伝えてくれます。積極的に、自ら授業に参加して、学びを深めてください。つい先週のことですが、3月30日に 英国、ロンドンに本拠地を置く、THE(Times Higher Education)の世界ランキング2017の日本版が公表されました。ここでは、入学時の学生諸君の学歴、いわゆる偏差値に代表される入学校歴ではなく、どのようなことを身につけたか、学修したかが重要であり、大学の教育資源(教育リソース)、教育満足度(高校教員から見た人材育成に対する評価)、教育成果、国際性などの評価軸からevidenceに基づいて評価されたものです。ランキングの順位そのものに踊らされる必要は毛頭ありませんが、本学は、北海道内の国公私立大学のなかで、北海道大学についで、2番目に良い評価でした。入学時の偏差値が重要ではなく、大学で如何に学ぶか、何を成果として身につけるか、outcomeが重要ということの一例だと思います。

 

 もう一つ昨年と同様ですが、大学生活を送る際のとても重要なキーワードを皆さんに送ります。「ものごと何でも最初が肝心」ということです。すなわち、4年間の学生生活のなかで、最初の1年がとても重要となります。最初の1年を順調に乗り切ると、残り3年間も安定した学生生活を送ることができる確率がかなり高くなります。これには統計的なエビデンスに基づいた確かな話です。入学時から卒業時にいたるまでの皆さんの大学での成績を統計的にみてみると、入学試験そのものの成績と卒業時の成績にはあまり相関はありません。ところが1年終了時の成績と卒業時の成績にはかなり強い相関があります。1年生の時から自分のこれまでの人生を振り返り、その上で4年間の学生生活の目標をぜひ設定し、達成するための計画を立てて臨んでください。学生時代は、まじめに、真摯に取り組む姿勢、心構えすなわち努力する姿勢が重要です。もちろん、社会にでれば仕事に対する成果を求められるようになりますので、努力するプロセスとともに、成果、結果もより重要となってきます。さらに追加すると、「どうせやらなければいけないことは、早く行う」ということも重要です。私自身は、60年以上生きていますので、今更、締め切りが近づかないと気合いが入らないという性格は、なかなか変わりません。その私が言うので、もしかすると説得力に欠けると思われる方もいるかもしれませんが、同じレベルの成果物(レポートでも、なにかの原稿でも、作品でも良いわけです、我々教員であれば、研究論文や研究成果ということになります)であれば、早く提出した方が、評価は髙くなる傾向がありますし、何より、自分自身に新たな余裕、自由な時間を作ることができるからです。皆さんは、まだまだ若いので、時間の重要性がピンと来ない方もいるかもしれませんが、限られた学生時代の時間をいかに上手に使うかは、皆さんの心がけ次第です。

 もう一つ、学生時代に世界を広めてください。直接的には、冒頭にも紹介しましたように、本学には、今年も多くの外国人留学生の皆さんが入学してきました。本学の学生諸君の総数は約3000人ですが、ほぼその5%にあたる152人の留学生諸君が本学のキャンパスで活躍しています。留学生諸君はもちろん日本語も勉強しますが、国内の学生諸君は留学生の皆さんとは、世界の共通語である英語でのコミュニケーションが必須となります。教室や、サークルで、あるいは学生寮や研究室で、学内のいたるところで交流の場があります。学内でも国際シンポジウムが開催されますし、大学院まで進むと、海外での国際会議に参加・発表するチャンスも増えてきます。また学内では、異文化交流の講義への参加、留学生諸君へのチューターとしてとの交流も含めて、多面的観点、俯瞰的視点を拡げる環境が皆さんを待っています。身近な話題でも、学術研究の分野でも、インターネットや様々なデータベース、ネットワークを通して、世界とのつながりは急速に、太く、速くなっています。私は、教授時代と比べると大学執行部の仕事をするようになって、海外に出かける機会は減ってしまいましたが、昨年の12月に中国・上海交通大学に、学術交流協定を結ぶために出張する機会がありました。上海交通大学では、事務職員も活発に英語でコミュニケーションをとりますし、研究室を訪問した際には、中国の学生諸君は流ちょうな英語で自分の研究を説明してくれました。広大なキャンパス内には留学生も多く、英語の環境もたいへん整っていました。室蘭工業大学でも、是非、グローバルな環境を整えて行きたいと思っています。

 最後になりますが、昨年ノーベル生理学・医学賞をとられた大隅良典先生は基礎科学、基礎研究の重要性を訴えられています。その研究のまさにベースとなる、科学や工学の基礎をしっかり、本学で能動的に学ぶことからはじめて、室蘭工業大学での学びを充実させてください。

 以上、「明確な目的意識を持つ」「ものごと何でも最初が肝心」「どうせやらなければいけないことは、早く行う」「世間を広めよ」という4つの言葉を皆さんに送り、私からの、入学宣誓式の告辞とさせていただきます。

 

                              平成29年4月5日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 

更新年月日:2017年4月6日

作成担当部局:総務広報課総務係

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