2019年 学長の年頭挨拶

2019年1月7日

室蘭工業大学長 空閑 良壽

 

 

 教職員の皆さま、明けましておめでとうございます。

 年末年始のお正月休みの間、皆さまリフレッシュされて、平成31年を迎えられたことと思います。

 本日は、昨年度からの予算関連の動きとともに、本年が第3期中期目標の暫定評価を受ける最終期間として非常に重要な位置づけである4年目となりますので、あらためまして、本年、取り組むべき課題についてお話しさせていただきます。

 

 まず、平成31年度予算関連の動きをご紹介します。国立大学法人全体の機能強化促進費を含む運営費交付金等の総額は、平成28年度で下げ止まり、それ以降その総額は実質ほとんど変わっていません。しかし、競争的に獲得する必要がある予算枠は運営費交付金総額のおよそ10% にもおよび、本学でいえばおよそ2億5000万円に及ぶ非常に大きな金額と想定されます。教員の人件費に換算するとおよそ25 人分の金額を競争的に獲得する必要があることとなり、予算獲得のための努力が非常に重要となります。

 さて、本学の施設関係の大きな予算として、受変電設備の整備が措置されました。この事業は、電力会社から最初に受電を行う重要な基幹設備の更新を行うものです。経年38年と老朽化が進み、設備の信頼性が著しく低下していたことから、停電事故等が懸念されていましたが、整備後は教育・研究面において安全・安心な大学運営を確保することができます。

 

 冒頭にも述べましたように、平成31年度は早くも第3期中期目標期間の4年目であり、暫定評価期間の最終年度となります。第3期6年間のゴールを見据えて、着実にその4/6以上を進捗させる必要があります。運営費交付金の安定的獲得のための具体的な年度計画の立案、そしてKPIの達成を含めたその実行が必須となりますので、皆様ご協力よろしくお願いいたします。

 

 続いて話題を平成31年度の課題に移します。

 まず第一に教育力に関して、私が学長になって以来の大きな課題でありました、社会の変革に対応できる地域に貢献できる幅広い視野をもった理工系人材の育成についてです。「工学部」から「理工学部」への改組計画も、皆様のご協力のもと、昨年8月に設置が認められました。既に、推薦入試 Iも終わり、志願者確保も大詰めの段階を迎えています。改組再編に盛り込んだ教育改革プログラムも、いよいよその実質化と実施が目前に迫りました。

 

 ここではまず、ものごとの本質をつかみ、探究心を養うために、自然科学・理学教育を全学的に充実させます。さらにICTやAIの本質を理解して使いこなし、もの・価値づくりに貢献できる学生諸君を育てる工業大学ならではの情報教育を、学部共通そして学科共通の必修科目として多数充実させることを全学体制でより推進していきます。

 

 本学は2017年3月に公表された、大学の教育充実度や教育成果などの観点からevidenceに基づいて主に教育力を評価したTHE(Times Higher Education)の世界大学ランキング日本版において、2018年度も引き続きランクインしました。ここでは入学時の偏差値のみが重要ではなく、大学で如何に学ぶか、そして、何を成果として身につけるか、outcomeが重要であるということが謳われています。本学は総合で111〜120位であり、道内では本学を含めて5大学がランクインしております。本学のevidenceに基づいた教育力が評価された結果の一つと考えています。是非、学生諸君に本学での伸びしろが大きいことを伝えたいものです。

 

 第二に研究に関しては、論文の数とともに質にもこだわり、他者に引用される研究成果につなげて欲しいと言い続けているところです。昨年の年頭の挨拶でも申し上げましたように、平成28年、平成29年そして平成30年も本学から出版されたWeb of science論文数は、平成27年以前の5年間の傾向と比べると、嬉しいことに着実に130〜140%の増加傾向にあります。国立大学の教育研究者の本分は社会を豊かにする手段として、研究の成果を社会に還元することであり、その手段の一つとして、まずは学術論文を世に送り出すということだと考えています。学生諸君の卒論、修論あるいは博士論文の研究のなかで、実験やデータをとって蓄積しても、その結果をまとめ、学術論文等を通して社会に公表、発信しなければ、研究者としては何もしていないことと同じです。

 また若手教員が活躍できる環境整備が重要であり、自立性を重んじつつ、研究ユニットでのしっかりとした指導・支援体制を確立して、研究ユニットで教員同士がディスカッションする機会をもつことがより必要だと考えています。このような議論を通して、個々人の研究計画の立案とその実施、そしてその成果としての論文発表(質と総数の両方が問われます)や外部資金の獲得が、大学全体の研究活性化の成否に大きく関わることは言うまでもありません。大学執行部としては、研究ユニットとしての研究計画の立案と着実な実施を予算支援の仕組みと合わせて推進しています。さらには、研究の発展が期待できるグループには社会連携統括本部内に研究ラボを設置し、大学が研究環境、予算面から支援し、組織的に研究を活性化させる仕組みを整えました。既に4つのラボを立ち上げ、若手の研究リーダーがそのリーダーシップを発揮できる環境を整えつつあります。結果的に地域への社会貢献につながることを期待しています。

 1月7日の日経新聞にも、国立大学協会会長である京都大学総長の山極先生が強調されておりましたように、国立大学とりわけ地方国立大学は地域の拠点として、産学官連携の要としてそのリーダーシップを発揮し、産業界の資金を呼び込んで大きな連携の要として地域課題の解決に取り組むことが必要です。

 

 さて、昨年の年頭の挨拶では期待を込めて、より研究力の評価が重要な要素となっているTHE世界大学ランキング本体にランクインし、本学も研究力の観点から、世界のTOP5%の大学を目指して、研究力の強化を図りたいと申しました。昨年12月の教授会でもお話しましたように、皆様の充実した研究成果のおかげで、2018年9月に公表されたTHE世界大学ランキング2019において、めでたく本学は世界の約23000校に及ぶ高等教育機関のなかのTOP5%に相当する1258校の一つとして1001+の位置にランクインしました(道内では3大学)。

 さらには、本学の専門であるEngineering & Technology分野で本学は、道内では北大についで世界で601〜800位にランクインしています。全国の国公私立大学では72大学のみがランクインし、本学はそのなかで16〜42位に位置しています。これらは、国立の工業大学としての研究成果が論文や外部資金の獲得として公表・評価された結果であり、本学の存在感を示すことができた一つの証拠と捉え、大変うれしく感じております。このことは、留学生をはじめとして、大学院生の志願者確保にも重要なポイントになることだと思います。

 

 また朝日新聞出版社の大学ランキングによると、コンピュータ科学分野の論文1報あたりの被引用指数(他の研究者の参考となり論文の質が高いことになる)では、なんと本学は「日本一」に輝いています!!本学の研究分野で、一つの観点からではありますが、「日本一 」の分野があるということは大変素晴らしいことです。

 これまでに輩出した3万余名の卒業生の活躍とevidenceに基づいた教授陣の裏付けのある確かな研究力をベースとした教育力こそ、本学の実績であり強みです。

 本学は、さらなる学習環境の整備やキャリア教育・支援などを通して、学生諸君を大きく育てていきたいと思います。このような教員の確かな研究力に基づいた教育力と30000 人の同窓生の社会での活躍を売りとして、入学志願者の確保に繋げていきたいと思っています。一言でいえば、本学のブランドイメージ力のupを、志願者・その保護者・指導する高校の先生方などのステークホルダーに対して、上手に広報していきたいと思っています。

 

 本年2月に行われる個別学力試験においては、いよいよ本学も東京会場を設け、関東、東京等の都市部をターゲットとした入学志願者確保を本格化させています。もちろん大学院博士前期課程、後期課程に関しても引き続き入学志願者の確保は最重要課題であり、優秀な海外留学生志願者の確保にも先述の世界大学ランキング入りは、アジアの大学としての存在感を示したことにもつながり、大きな後押し材料になると期待しています。こちらの広報も大変重要な課題となると考えています。

 

 最後に繰り返しとなりますが、平成31年度は第3期中期目標期間の4年目、暫定評価の最終年度となります。ここで紹介した課題の解決をはじめとして、6年間の中期目標の仕上げを見据えた様々な計画の実現に向けて、執行部一丸となって取り組んで参ります。その成否は教職員の皆様の実行力にかかっています。是非ともご協力よろしくお願いいたします。

 

 以上をもちまして、本年の年頭の挨拶とさせていただきます。

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