スーパーサイエンスハイスクール「次の大地震(メガクエイク)に備えて」の取り組み

建築社会基盤系学科 教授 木村克俊

 

 建築社会基盤系学科土木工学コースでは室蘭栄高校と連携し、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)「ものづくりひとづくりサイエンスIIa」講義として、5月7日より「次の大地震(メガクエイク)に備えて」をテーマに、室蘭栄高校の生徒を対象に全11回の講義を開講しています。この企画は、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震が私達の生活基盤や社会基盤に甚大な被害を与えたことを契機として、将来を担う高校生の皆さんに、災害の発生メカニズムの理解と、その対策のありかたについて、防災工学や防災まちづくりの視点から、いくつかのサブテーマに沿って講義するものです。授業の特徴は、座学だけではなく、実験を通した体験的な学習を導入している点にあります。

 

 「次の大地震(メガクエイク)に備えて」は、水防災学、地盤防災学、構造防災学、防災まちづくり計画学の4つのサブテーマから構成されます。

 

 水防災学の講義では、波の性質や地震津波の伝搬速度、波の力といった、水防災に必要な基礎的な計算方法を教授します。その上で、地震と津波の発生メカニズムを説明し、津波被害の実態をお見せします。最後に実験水槽を用いた体験学習により、波の力を体感的に理解してもらいます。

 

 

写真1 海の波の伝播特性の観察

写真1 海の波の伝播特性の観察

写真2 港への津波の侵入の再現実験

写真2 港への津波の侵入の再現実験

 

 

 

 地盤防災学の授業では、過去に起こった液状化被害の実態と、現在、防災情報として利用されている各種地盤情報システム、防災技術を説明します。その後、液状化現象の理解のために、その発生メカニズムを説明し、地震動による液状化現象やそれと類似の現象であるボイリング現象を、模型実験を通して再現し、地盤が液体状に変化する挙動について体感してもらいます。

 

 

図1 地震による液状化発生のメカニズム

図1 地震による液状化発生のメカニズム

図2 ボイリング試験装置

図2 ボイリング試験装置

 

 

 構造防災学の授業では、地震による災害を最小限に食い止める構造物のありかたを考えるために、まずコンクリート構造物およびコンクリートの概要を説明します。また東日本大震災によるコンクリート構造物の被害について説明し、被害を防ぐために有効な方法について考えてもらいます。最後に、実際に3種類の鉄筋コンクリートを製作してもらい、その強さ比較から、被害を防ぐ方法の有効性について体感してもらいます。

 

図3 鉄筋コンクリートの耐力算定式

図3 鉄筋コンクリートの耐力算定式

写真3 鉄筋コンクリート製作の様子

写真3 鉄筋コンクリート製作の様子

 

 

 

 防災まちづくり計画学では、まず東日本大震災発生時のインフラ被害と、その後の防災計画の現在の進展状況について解説します。次に大規模な自然災害に対する社会基盤による防災計画と、避難を通じた減災計画の違いについて解説します。最後に、実際に室蘭で大地震が発生した時の避難行動について考えてもらうために、高校生の皆さんにGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を携帯してもらい、平日や休日の移動経路や各地点での滞在時間を自ら計測してもらいます。講義最終日に移動記録をGISで表示し、ハザードマップと比較することで、あるべき避難行動を考察してもらいます。

 

 本企画は現在進行中の授業ですが、毎回、高校生の皆さんは熱心に与えられた課題や実験に取り組んでいます。災害は普段の生活では忘れがちな不確実な事象です。しかし、将来、必ず起こりうるものです。将来にわたり地域の防災・減災力を高めていくには、災害に係る貴重な知識を次世代に確実に伝えていくことが重要であり、本企画がその一助になれば幸いです。

 

 

建築社会基盤系学科Webサイト:

http://www.muroran-it.ac.jp/cea/index-j.html

 

 

 

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更新年月日:2013年10月29日
作成担当部局:総務グループ総務ユニット

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