バーチャルリアリティソフトウェア開発環境「仮想現実工房」を利用した実践的演習の取り組み

情報電子工学系学科情報システム学コース 佐藤和彦

 本学の情報電子工学系学科情報システム学コースおよびコンピュータ知能学コースでは、大学の教育改革の一環としてバーチャルリアリティ(VR)設備を本格的に教育に活用するという全国的にもユニークな試みを行っています。「仮想現実工房」と呼ばれる本学のVR設備は、VRスタジオとVRシアターという2つの教室で構成されます。VRスタジオにはVRソフトウェアを開発(および利用)するための端末機器が設置されています。VRシアターは、VRスタジオの端末上でVRソフトウェアが操作されている様子を3D映画のような立体映像として100人が同時に視聴できる視聴覚機器が設置されています。この仮想現実工房の設備を使い、情報システム学コースおよびコンピュータ知能学コースの2年生およそ100名に「VR教材」(VR技術を利用した学習用ソフトウェア。マルチメディア教材の特別に進化したもの)を開発させる「情報工学PBL:システム開発演習」を実施し、実践的な情報処理技術者の育成を行っています。

 この演習で学生は5人1組でグループを組み、集団でのソフトウェア開発を体験します。通常のソフトウェア開発演習では、開発で使うプログラミング言語そのものを学習したり、既に習得したプログラミング言語を使って実際にソフトウェアを作成することが課題となります。そのような演習では、プログラミング技術の向上は期待できますが、未知の技術や課題に立ち向かう実践力の育成は期待できません。これに対し、我々の演習ではVR設備という特殊な機器を動作させるためのVRソフトウェアを開発します。プログラミング言語も学生がそれまで学習していないJava言語を使用します。そのため、学生はグループで協力しながら、(1)VR設備やVRソフトウェアの構造理解、(2)新たなプログラミング言語の習得、(3)オリジナルなVRソフトウェアの設計開発、という3つの作業を同時に進める必要があります。このように技術を身に着けながら同時に開発を進めることは実際の開発現場では良く起こります。つまり、本演習ではより実践に近い演習課題を学生にチャレンジさせているのです。また、この演習では自分たちの演習の成果や達成度が「見える」工夫が数多く取り入れられています。これにより、苦労に見合うだけの達成感を得ることができる演習として高い人気を得ています。

 さらに今後、仮想現実工房には人間の動作を解析して3DCGに反映させるモーションキャプチャシステムの導入も予定されています。この技術はゲームや医療など様々な分野で利用されており、社会に出てから役に立つ高度な技術を習得することができます。仮想現実工房や学生たちの成果は公開講座やオープンキャンパスなどを通して学外に広く発信してゆきますので、機会があればぜひ体験してください。

 

VRスタジオのVR端末機器

 

動作実験の様子をモニタで確認するメンバー

 

演習室の端末上での動作テスト

 

VRシアターでの成果発表会の様子

 

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