コンピュータシミュレーションによる光デバイスの解析と自動最適設計技術

情報電子工学系学科情報通信システム工学コース 辻 寧英

 

 インターネットの普及にともなう近年の情報通信量の増大とデータの多様化に対応するため、より高速大容量で柔軟な光通信システムの構築が求められています。これを実現するためには、そこで使われる光回路(電子回路の光版)の高性能化が必須で、本研究室では、コンピュータを用いた光デバイスの解析法の開発、およびそれを利用して目的の特性を実現する光デバイスの自動最適設計法について研究を行っています。

 

 

 

光回路シミュレータの開発

 図1に開発中の光シミュレータの一例を示します。コンピュータ上でのデバイス形状およびパラメータの入力、シミュレーション、結果の可視化等を支援することで、数値解析法の知識がない人でも、光デバイスの解析・設計が行えるようなツールを整備しています。真っ直ぐな導波路の固有伝搬モードから、回路中の光波のビーム伝搬解析、導波路不連続解析、時間領域解析、周期構造解析など様々な解析をサポートしています。

 

図1 光回路解析設計シミュレータ

 

光デバイスの解析・設計

 開発した光回路シミュレータを利用して、新しい光回路デバイスの提案も行っています。一例として図2にフォトニック結晶を用いた光デバイスの設計例を示します。フォトニック結晶は人工的に作られた周期格子を基本とし、特異な性質を有し、超小型光回路を実現できることからも期待されています。図2(a)は磁性材料を用いた光アイソレータの設計例です。上側の導波路の左側から入力された光は右側から出力されますが、逆側から入力された光は上側の導波路に出力されず、光が一方向にしか伝搬しないことがわかります。図2(b)は偏波分離素子の設計例を示しています。電界の振動方向が紙面に垂直な方向の光と水平な方向の光をそれぞれ上下の導波路に分離しています。2本の導波路の間に置かれた共振器の共振モードが偏波により異なることを利用しています。構造の下側に描かれている電磁界分布がTE波の共振モードを表しています。

 

 

図2 新しいフォトニック結晶光波回路の設計例

 

光デバイスの自動最適設計

 シミュレーションにより光デバイスの特性解析を行うことができるようになると、次に求められるのは目的とする特性を実現するデバイス構造を自動的に求められないかということです。そうすることにより、既存の常識を超えた新しいデバイスを見出す可能性もでてきます。一例として図3により小型で低損失な曲り導波路の自動設計例を示しています。導波路の外側に放射波を抑圧する構造が自動的に現れていることがわかります。このように、これまでにない構造を自動的に創出することが可能になります。

図3 光導波路曲りの自動最適設

 

 情報電子工学系学科Webサイト:http://www.muroran-it.ac.jp/ie/index.html

 

 

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更新年月日:2013年1月28日
作成担当部局:総務グループ総務ユニット

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