磁界シミュレーションの高速化と形状最適化計算

情報電子工学系学科電気電子工学コース 准教授 渡邊 浩太

 

 コンピュータシミュレーションと呼ばれる分野では、現実世界の現象をコンピュータ上で模擬するために、膨大な計算をする必要があります。本研究室では、シミュレーションのための高速な計算方法に関する研究や、進化型計算と呼ばれる方法を用いて、性能の良いモータ等の機器の形状を自動的に見つける方法の研究を行っています。

 

高速なシミュレーション技術の開発

 モータはコイルに電流を流したときに発生する磁界を利用して回転力を発生させます。このモータの設計では磁石の配置やコイルの形状が性能に大きく影響します。磁界は人間の目には見ることができないため、実際のモータの中で磁界がどうなっているのかを知ることは難しいです。しかし、シミュレーションを使えば磁界の様子を可視化することができて、より性能の良いモータの開発をすることができます。図1は電子回路で使われているコイルの断面とシミュレーションで磁束線の様子を可視化したものです。

 このシミュレーションには主に有限要素法という方法が用いられますが、非常に大規模な連立方程式を解く必要があります。そのために様々な計算方法が研究されています。ある計算例では、100万元の連立方程式に対してマルチグリッド法と呼ばれる計算方法を使うと従来方法より10倍程度高速化することができました。

 

図1

図1 パソコンなどの電子機器で使われているコイル部品の断面図とシミュレーションにより磁束線を可視化した結果

 

電磁機器の形状最適化計算

 シミュレーションでは、寸法などの形状を与えると、その機器がどのような性能を発揮するのかを計算します。逆に、最も良い性能を発揮する形状を見つける計算は苦手です。この最適な形状を見つける方法は様々ありますが、本研究室では進化型計算を基にした最適計算の研究を行っています。この方法は、単純な形状からスタートして、徐々に形状を変化(進化)させて最適な形状を見つける方法です。特に、生物の進化を模擬した遺伝的アルゴリズムや、生物が外部から侵入する細菌等の異物に対処する免疫抗体反応を模擬した免疫型アルゴリズムと呼ばれる方法を使って、形状最適化を行っています。どちらの手法も、コンピュータの中で何度も何度もシミュレーションを行う必要がありますので、最初に紹介した高速な計算方法が重要になります。

 図2に示した例はハードディスクにデータを書き込む磁気ヘッドと呼ばれる部品の形状を最適計算で求めたものです。最初は材料をランダムに配置させて、それから進化計算を進めていくことで徐々に形状が定まっていく様子がわかるかと思います。

 

図2 進化計算による磁気ヘッドの形状最適化~進化の様子と最終形状と磁束線の分布 (左図はアニメーションGIF)

図2 進化計算による磁気ヘッドの形状最適化~進化の様子と最終形状と磁束線の分布
(左図はアニメーションGIF)

 

 

情報電子工学系学科Webサイト:

http://www.muroran-it.ac.jp/ie/index.html

 

 

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更新年月日:2013年9月27日
作成担当部局:総務グループ総務ユニット

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