情報科学と生物学のシンフォニー 〜バイオインフォマティクスへのいざない〜

情報電子工学系学科情報システム学コース 岡田吉史

 

 バイオインフォマティクス(bioinformatics)とは、生物学(bio)の実験で得られるデータを情報科学(informatics)の手法を用いて解析し、生命の神秘を解き明かしていく研究分野です。近年、生物学における計測技術が劇的に向上したことによって、ヒトをはじめとする様々な生物種のゲノムや遺伝子、タンパク質構造といった生物データが大量にもたらされています。しかし、その一方で、それらの巨大なデータから生物学的な意味を引き出すためには、コンピュータを用いた情報技術の活用が不可欠となっています。バイオインフォマティクスは、生命現象の解明だけでなく、医薬品の開発や再生医療の研究を効率的に進める上で不可欠な研究分野となっており、技術革新が急速に進んでいます。

 

 私たちの研究室(生命情報工学研究室)では、データマイニングという情報技術を用いた遺伝情報解析法の研究を行っています。データマイニング(data mining)とは、鉱山の大量土砂の中から金塊を掘り当てるかのごとく、一見、無秩序に見える膨大なデータ(data)から、予想もしなかった価値のあるパタンや法則性を採掘する(mining)ための方法です。私たちは、図のような遺伝子発現(活性度)データから、共通に活性化または不活性化する遺伝子群の組み合わせを網羅的にチェックし、細胞内における遺伝子の挙動パタンや法則を発見するデータマイニング手法を開発しています。この技術により、特定の病気に関連する遺伝子群あるいは特定の組織・臓器の機能や形態を特徴付けている遺伝子群を高速に発見できるようになります。

 

 2012年、京都大学の山中伸弥氏がいろいろな細胞に変化できるiPS細胞を作り出すことに成功し、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。実は、この研究にもバイオインフォマティクスの技術が一役を担っていました。手作業による実験ではなかなか得られなかった成果が、バイオインフォマティクスを巧みに駆使することで研究が加速化され、大発明につながったといえます。生物学の分野はまさにビッグデータ時代に突入しています。バイオインフォマティクスは、そのような膨大なデータから世界の大発見に結びつくような新規な情報の発掘に貢献できる、とてもエキサイティングでチャレンジングな研究分野です。

 

 

図:遺伝子発現(活性度)データ(左の行列)からのデータマイニング

図:遺伝子発現(活性度)データ(左の行列)からのデータマイニング

 

情報電子工学系学科Webサイト:http://www.muroran-it.ac.jp/ie/index.html

 

 

教育・研究の最前線 過去の記事

2014.03.07生物多様性から文化的、言語的多様性へ

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2014.02.07有機色素分散媒質における非線形光学効果と光誘起回折格子

2014.01.24大学の発明・特許―室蘭工業大学 知的財産本部の役割

2013.12.25ものづくり基盤センターの活動

2013.12.11応用理化学系学科バイオシステムコースの教育・研究最前線 —新触媒の力で医薬品分子の右と左を作り分ける—

2013.11.29原子炉の安全性を向上させるSiC/SiC複合材料製燃料被覆管の開発

2013.11.15東日本大震災における被害調査と復興支援

2013.10.29スーパーサイエンスハイスクール「次の大地震(メガクエイク)に備えて」の取り組み

2013.10.16FD講演会の紹介

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2013.09.06応用理化学系学科応用化学コースの教育・研究最前線―光機能性有機材料の開発とメカニズムの解明―

2013.04.24映像の意味解析における世界最高精度を達成

2013.04.04応用理化学系学科応用物理コースの教育・研究最前線―レアアース合金における強相関電子状態の解明と高機能金属材料の開発―

2013.03.19本学における第二外国語教育の特色と語学研修

2013.02.18ロボットアリーナにおけるものづくり体験教室-未来の技術者と近未来の技術者育成-

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2012.12.21応用理化学系学科バイオシステムコースの教育・研究最前線―生物の力を利用して化学物質のかたちを変える―

2012.12.05人間の感性と機械の感性

2012.11.20室蘭工業大学教育ワークショップ

2012.11.05室蘭工業大学男女共同参画推進への取り組み

2012.10.18超音波が可能にする特異な“動かす”技術

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2012.09.24地域共同研究開発センターの活動

2012.09.06応用理化学系学科応用化学コースの教育・研究最前線―粉砕法を利用した機能材料の開発―

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2012.08.08建物・基礎・地盤を総合的に考えた建築構造物の振動研究 -併用基礎の耐震性能の評価に向けて-

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2012.06.22東京都市大学との戦略的大学連携支援事業

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2012.05.10応用理化学系学科 応用物理コースの教育・研究最前線―新奇誘電体材料の開発と物性評価―

2012.03.16ロボットアリーナ := 「ロボットの今と未来がみえてくる。」

2012.03.02ものづくり基盤センターの活動

2012.02.15航空宇宙機システム研究センターの教育・研究最前線

2012.02.02災害時に有効な支援体制を目指して

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2011.11.16難分解性汚染物質の原位置浄化を目指した処理システムの実用化開発 ー新環境型汚染修復システムの構築に向けてー

2011.10.25大学の研究と発明・特許 -室蘭工業大学 知的財産本部の役割-

2011.10.07高機能炭素ナノ材料の創製と電気化学エネルギー変換デバイスへの応用 ー持続可能な社会の構築に向けてー

2011.09.09バイオガスの放電プラズマ改質による水素生成技術開発 ー低炭素社会の実現に向けてー

2011.06.21FDワーキンググループの活動

 

更新年月日:2014年3月20日
作成担当部局:総務グループ総務ユニット

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