国立大学法人 室蘭工業大学
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学長告辞

平成22年4月6日

   

 本日ここに、ご来賓ならびに名誉教授の諸先生のご臨席のもと、平成22年度入学宣誓式を行いますことは、室蘭工業大学すべての教職員、学生の慶びとするところであります。この度入学された方は、工学部学士課程の665名、大学院博士前期課程が296名、博士後期課程の12名、合計973名のみなさんです。この中には海外からの留学生が学部に14名、大学院に11名含まれております。
 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。また長年にわたり勉学の環境を整えられ、努力を支えられたご家族ならび関係者の方々にも心から敬意とお祝辞を申し上げます。
 入学式にあたり、本日は大学で何を学ぶかについて、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

 J.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は世界中で広く読み継がれ、永遠の青春小説として親しまれています。この小説の終章に近いところで、かねて英語の教師として主人公に接し、その後ニューヨーク大学の教員となったミスター・アントリーニが高等教育について次のように言っています。
 「高等教育を受けた学究の徒だけが価値あるものを社会に与えることができるわけではないし、そういう考えは間違っている。」「しかし大学卒業者の一般的特質として、明晰な自己表現力、究極に迫ろうとする探究心と情熱、ならびに謙虚さを備えていることが挙げられる。」「ほかにも大学教育を通じて自分の知力のサイズや適性を知り、自分の知力に相応の教養を身につけることができる。」
 この小説が発表されたのは今から60年前のことです。当時と比べ大学の状況は大きな変容を遂げました。しかしその本質は変わりません。もし主人公のホールデン・コールフィールドが本学に入学を希望すれば、ミスター・アントリーニに代わり、私も彼に同じことを言います。ただし本学の教育目標に沿って、少々表現が異なるはずです。そしてそれは本学に入学したみなさんへのメッセージでもあります。

 本学はみなさん一人ひとりの多様な才能を伸ばすことを教育の基本に置いています。これは教員一人あたりの学生数が約12名という、国立大学ならではの恵まれた指導体制、系学科の中に設けられた12の多様なコースの選択肢、充実した学習センターとしての図書館や情報インフラなどによって実現が図られています。昨年、全国的な経済紙が本学に取材に入り、研究者だけでなく学生にもインタビューしました。学生たちの声には新鮮な響きがありました。再現しますと、「先生方を意外と身近に感じられる。とくに演習や実験では先生や大学院生のティーチング・アシスタントから親身できめ細かなアドバイスが受けられる」と。私たちが当たり前と思っていることに、学生が驚きを感じるようです。入学されたみなさんも教員はもちろん、上級学年や大学院の先輩を大いに頼りにしてください。それが本学の特徴のひとつです。

 次いで、本学の特色は教養と国際性を養う教育にもあります。つい最近、朝日新聞出版の新刊―書名は「対決!大学の教育力」ですが―この中で、教養教育の総合トップは室蘭工業大学と評価され、みなさんがこれから学ぶ本学の副専門教育課程が詳しく書かれております。調査取材や分析は河合塾によって行われており、調査の対象は86の全国立大学です。
 工学系単科大学でありながら、というより、そうであるからこそ理工系以外の人文・社会科学系や語学などの教養と国際性に配慮したカリキュラムが1年から4年までの4年間にわたって組まれていることが特徴であるとの評価です。1年生は幅広く主要な分野を一通り経験することに主眼が置かれ、2年生からは対象をフォーカスしながらズームインするシステムとなっています。16年前に理系と文系の複眼的な視点をもった技術者を育てるという新しい理念のもとにスタートしたこのシステムは、その後、年々進化し、今日に至っております。
 このカリキュラムを通じてみなさんは、小説の中でミスター・アントリーニが約束したように、自分の知力や適性を知り、自分の知力にふさわしい教養や自己表現力、コミュニケーション力を身につけることができると思います。

 最後は本学の専門教育の特色です。この教育の目標は、深い専門知識に裏付けられた創造的な科学技術者を育成することとしております。専門知識の深さや創造性の程度は学部と大学院では違いますし、大学院でも博士前期課程と後期課程ではまた異なります。学部では基礎科学と工学の基本に重点が置かれ、大学院ではこれを基礎にさらに高度な専門性を培うことになります。しかしどちらにも共通するのは、ミスター・アントリーニが想定したように、究極に迫ろうとする探究心とそれを支える継続的な情熱です。その探究心を常時持ち続けることが創造性の扉を開きます。

 創造性は基礎的な数学や物理のように教科の学習によって習得できるものではありません。最初は問題の発掘と設定から始まります。専攻する課題意識を導きの糸として、問題解決に到るルートを探索します。専門知識の体系的な理解を土台として、関連知識のうち必要なものを再編成して解決に臨みます。指導教員や研究チームの的確な指示や協力も欠かせません。中間での冷静なチェックや評価、ときにはコースの変更、場合によっては後退さえあり得ます。それらのすべてが創造性を育み、鍛え、磨きあげていきます。
 社会起業家のビル・ドレイト氏は次のように言っています。
 「日本ではみんな自分たちは創造性や自発性が足りないと言っているが、創造性なしで日本がなし遂げたようなことはできない。日本人の得意技と言われる協働は創造性の敵ではなく、パートナーである。」
 独りの力でまったく新しいものを創り出す独創はもちろん賞賛に価します。しかしチームで力を合わせ、新たな着想を得てそれを実現する協働もそれに劣らず高い価値があります。大学院生のみなさんは、創造性には独創と共創があることを忘れずに、研究の道を進んでください。

 本学に入学されたみなさんや大学院に進学されたみなさん。今日から始まるキャンパス・ライフがミスター・アントリーニのような良い教師、良い友人、そして良い本との出会いの場となることを祈念し、入学宣誓式の告辞といたします。

室蘭工業大学長 佐藤 一彦

 
更新年月日:2010年4月7日 作成担当部局:企画・評価室 問合せ先:koho@mmm.muroran-it.ac.jp

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