氏    名  本 間 弘 達 (ほんま こうた)

学位論文題目  パッケージ型可搬式雪冷房装置の開発に関する研究

論文内容の要旨

 近年,地球温暖化等の環境問題が問われる中,化石燃料の使用削減の一環として雪を冷熱源とした冷房(雪冷房)を導入した施設が増加している。システムの低コスト化が進められる中で,雪山貯蔵,もしくは,大型の貯雪庫を冷熱エネルギーの供給基地とし,冷熱需要にあわせて必要な量だけ雪を取り出し,必要な場所で冷熱利用が可能な,簡易的な冷房装置の需要が見込まれる。そのため,2001年より可搬式のパッケージ型雪冷房装置の開発に関する研究を行った。
  雪冷房装置においては,雪からの冷熱取り出し方法は,冷水循環式雪冷房と全空気式雪冷房に大きく二分類できる。本論では,前者の方式として散水式装置,および,浸水式装置の試作と実証試験,運用事例について,後者の方式として全空気式装置の試作と基礎実験結果について報告し,パッケージ型可搬式雪冷房装置の設計指標を明らかにしている。
  本論文は5章で構成されている。第1章では,本研究の背景と目的について述べている。
  第2章では,可搬式雪冷房装置の全体設計について説明し,雪の上部から散水することで雪からの冷熱を得る散水式冷水循環型装置の設計と補助実験の結果,試作装置による実証試験結果,および,同装置の冷房能力について述べ,散水式冷水循環型装置の設計指標を与えている。また,同装置の運用事例を3例紹介し,ハンドリングの特徴について論じている。
  第3章では,雪塊をプール状の水槽に浸し,雪塊の下部より冷熱を取得する浸水式冷水循環型装置の設計と試作装置による実証試験結果,および,同装置の冷房能力について究明し,散水式冷水循環型装置の設計指標を与えている。また,同装置の運用事例を2例紹介し,特徴を解明している。
  第4章では,2種類の全空気式装置の設計と試作装置による基礎試験結果について論じ,それぞれの冷房能力について明らかにしている。この前半は雪を多数の雪棚に入れた後,装置内に搬入し,雪と空気の接触面積を大きくとることで,空気による冷熱取得の効率向上を目指した雪棚式装置についての特性を論じている。また,後半部分では,予め雪塊に鉛直に複数の孔を開けることで,孔の内側表面と空気とで熱交換を行う縦穴式装置について論じている。
  第5章では,本研究のまとめとして,上記各冷房方式の装置についての冷房能力について総括し,本開発研究により,パッケージ型可搬式雪冷房装置の設計指針を得ることができたという結論と,本装置の将来的な普及への展望について述べている。

論文審査結果の要旨

 近年,地球温暖化などの環境問題が問われる中,雪を冷熱源とした冷房(雪冷房)を導入した施設が増加している。システムの低コスト化が進められる中で,冬季道路排雪により都市辺縁部に毎年造成される大規模の雪山貯蔵,もしくは,大型の貯雪庫を冷熱エネルギーの供給基地とし,冷熱需要にあわせて必要な量だけ雪を取り出し,必要な場所で冷熱利用が可能な,簡易的な冷房装置の需要が見込まれている。
  本論文では,そのような背景のもと,雪山などの冷熱エネルギー供給基地から,給雪を夏期間に数回実施することを前提とした,可搬式のパッケージ型雪冷房装置の開発に関する研究を実験を主として行ったものである。
  雪冷房装置においては,雪からの冷熱の取り出し方法は,冷水循環式雪冷房と全空気式雪冷房に大きく二分類できる。本論文では,前者のうち散水式装置,および,浸水式装置の試作と実証試験,ならびに,これまで運用を行ってきた事例とハンドリングの良さについて論じ,後者の全空気式装置については,雪棚式と縦穴式の二種のシステムについての装置試作と基礎実験結果について報告している。パッケージ型可搬式雪冷房装置の本開発研究により,各方式の冷房装置について,基礎的特性を把握し,各装置が実用的なシステムであること,これらの装置が広く普及する可能性が大きなことを示し,また,パッケージ型可搬式雪冷房装置の設計に対し指標を与え,将来的な展望について論述している。
  以上のことから,本研究によって得られた知見は,十分な価値があり,機械工学の分野に寄与するところが大きく,博士(工学)の学位を授与されるにふさわしい内容と水準を備えているものと判断される。