氏    名  Himsar Ambarita (ヒムサール アムバリタ)

学位論文題目  Study on Control of Convective Heat Transfer and
        Fluid Flow Characteristics by Using Inserted Devices
        (熱流体中への挿入体の設置による対流熱伝達と流れ特性の制御に
         関する研究)

論文内容の要旨

 熱に関連する機器において燃焼技術の他,熱流の制御技術として熱放射,熱伝導,対流熱伝達などの基本伝熱工学は重要なる役割を演ずるが,特に対流熱伝達と流れ特性の予知・掌握はその制御と熱的性能の向上技術対策に絶対条件となる。近年進歩の著しい最新数値解析法はその予測を可能とするため,数値解析法の修得は必須事項となっている。実際,熱機器における熱伝達と流れ特性の制御・改善の工学的手法は外部入力の有無によりアクテブとパッシブな手法に大別され,その中で流れを制御するための挿入板(バッフルプレート)方式が最も古くて新しい効果的・簡易な手法である。本論文は熱機器等における,流れ場と熱伝達率制御・改善の有力なる手法として流れ場に挿入板(境界層制御板)を設置,あるいは伝熱対象物体自体を挿入体とする対象物体内部の圧力損失の低減と同時に熱伝達率の改善に関する研究を数値解析と実験により行い,一般的な熱流体中に挿入体を設置することで伝熱・流体力学的特性の改善と制御の可能性について論述している。
本論文は5章で構成されている。第1章では,本研究の背景と目的について述べている。
  第2章では,流れと熱伝達の場の解明に適用される最新数値解析法の一つとしSIMPLE法と非線形対流項の線形化に3次の風上差分とべき乗近似を適用し,本論で開発された複雑な流れ場に適用可能な解析コードについて述べている。
  第3章では,密閉空間内自然対流熱伝達現象を取り上げ,上述の数値解析法のベンチマークテストを実施して,数値解析の分割メッシュを適当に小さくすればこれまでの既存の解析結果と同一となることを明らかにして,巧みなる二組の対称断熱性挿入板を密閉空間内に設置する場合に対して解析を実施して熱伝達と流れ場の解明を行い,挿入板の配置により高温側から低温側への熱流がその配列により大幅に低減(1/10〜1/30程)する熱流のダイオード性を見出し,新現象の発見と新たなる工学的な知見を見出している。
  第4章では,将来的な寒冷地暖房熱源の一つと考えられる太陽熱利用において必然化される低コスト・簡易で永続性のある岩床式蓄熱槽の蓄熱性能の最適性について取り上げ,挿入板と蓄熱レンガの配列・設置により大幅なる伝熱性能の向上と併せて圧力損失の低減を可能とする高性能岩床式蓄熱槽について価値ある工学的知見を見出している。
  第5章では,総論として本論で取り上げた密閉空間内自然対流熱伝達現象と岩床式蓄熱槽に対して挿入板ないし挿入体設置による流れと熱伝達の促進・制御効果を総括して,一般的な熱流体中に挿入体の設置により著しく革新的な伝熱・流体力学的特性の改善と熱流制御の可能性と今後の展望について論述している。

論文審査結果の要旨

 熱に関連する機器において燃焼技術の他,熱放射,熱伝導,対流熱伝達などの制御伝熱技術は重要なる役割を演ずる。特に対流熱伝達と流れ特性の予知・掌握はその制御と熱的性能の向上に必須なこととなり,近年進歩の著しい最新数値解析技術はその予測を可能にしている。実際,熱機器における熱伝達と流れ特性の制御・改善は外部入力の有無によりアクテブとパッシブな手法に大別され,流れを制御するための挿入板(バッフルプレート)方式が最も古くて新しい効果的で簡易な手法である。 
  本論文は熱機器等における,流れ場と熱伝達率改善の有力なる技術的手法として流れ場に挿入板(境界層制御板)を設置,あるいは伝熱対象物体自体を挿入板とする対象物体内部の圧力損失の低減と同時に熱伝達率の改善に関する研究を数値解析と実験をあわせて行っている。ここでは問題を二点にしぼり第一に,密閉空間内自然対流熱伝達現象を取り上げ,巧みなる二組の断熱挿入板の設置により高温側から低温側への熱流がその方向と対流の大きさにより大幅に低減・増大する熱流のダイオード性を見出し,新たなる工学的な知見を得ている。第二に,将来的な寒冷地暖房熱源の一つと考えられる太陽熱利用において必然化される低コスト・簡易で永続性のある岩床式蓄熱槽の最適性について取り上げ,挿入板と蓄熱レンガの配列・設置により大幅なる伝熱性能の向上と併せて圧力損失の低減を可能とする高性能蓄熱槽について価値ある工学的知見を得ている。総論として一般的な熱流体中に挿入板の設置と配列により著しく革新的な伝熱・流体力学的特性の可能性と将来的な展望について論述している。
  以上,本研究によって得られた知見は工学的に充分なる価値があり,機械工学・熱工学の分野に寄与するところ大であるので,本論文は博士(工学)の学位論文として授与されるにふさわしい内容と水準を備えているものと判断される。