氏    名  岩 谷 祐 子 (いわや ゆうこ)

学位論文題目  自然体験型余暇活動の促進に資する国営公園における自然体験
        サービスに関する研究

論文内容の要旨

 近年,環境教育の推進,国民の自然に対する関心の高まり等に伴い,自然体験型余暇活動を促すイベント等の自然体験プログラム,および自然体験プログラムに関する情報提供や施設の充実等の自然体験サービスが重要視される中,これらの自然体験サービス提供施設である国営公園等では,顧客指向型の積極的なパークマネジメントが求められている。このような背景のもと本研究では,方法論として利用者側の視点から総合満足度やリピートに関わる要因を定量的に明らかにする際に有用性の指摘されている消費者行動研究の観点から,自然体験サービス提供施設としての国営公園への来園者や自然体験プログラム利用者の総合満足度やリピートに関わる要因を明らかにし,自然体験サービス提供施設としての国営公園の役割や今後の改善方策等を検討すること,パークマネジメントに求められる評価手法として消費者行動研究の観点から来園者等の総合満足度やリピートに寄与する要因を明らかにすることの有用性を検討すること等を目的としている。
 本研究は,5章から構成されている。1章では,本研究の背景・目的,研究方法を整理した。2章では,国営公園の現況や既往研究を整理し本研究の位置づけを示した。3章では,国営公園の来園者の視点から,自然体験サービスの位置づけや利用促進に及ぼす影響等について検討した。4章では,国営公園の自然体験プログラム利用者の視点から,自然体験サービス提供施設としての国営公園の魅力や利用促進に寄与する要因等を検討した。5章では,各章を総括し,自然体験型余暇活動の促進に資する国営公園の自然体験サービスの改善方策,自然体験サービス提供施設のネットワーク化の可能性,パークマネジメントにおける評価手法として,消費者行動研究の観点から来園者等の総合満足度やリピートに寄与する要因を明らかにすることの有用性や今後の課題等を検討した。
 本研究の結果を総括すると次のようになる。国営公園における自然体験サービスは,長期的・継続的な来園者確保のために重要な提供サービスであること,自然体験サービス提供施設としての国営公園は自然体験初心者向けの施設や自然体験の導入口としての役割を担っていること,改善方策等の検討の際には,自然体験プログラムの利用経験の違いを考慮する必要があること等がわかった。
 また,パークマネジメントにおける評価手法として消費者行動研究の観点から,来園者等の総合満足やリピートに関わる要因等を解明することで,より効果的な総合満足度の向上やリピーター確保のための改善方策を検討することが可能であり,今後は,評価システムの構築や導入時の課題についての検討が必要である。

論文審査結果の要旨

  近年,自然環境に対する関心の高まりや環境教育の推進等に伴い,自然とのふれあいが重要視され,自然体験プログラム等を提供する自然体験サービス提供施設が普及してきた。国営公園もその一施設である。他方で,パークマネジメントが重要視され,自然体験サービス提供施設としての国営公園においてもパークマネジメントの基本的な考え方でもある PDCAサイクルの導入が期待されている。また,環境教育推進法より,各自然体験サービス提供施設の役割分担を明確にし,施設間における補完・連携も重要視されている。
 このような状況のもと,本論文は自然体験型余暇活動の促進に資する国営公園における自然体験サービスについて,消費者行動研究の考え方にもとづき,利用者側の視点から国営公園における自然体験サービスの位置付けや自然体験サービス提供施設としての国営公園の役割,および今後の自然体験サービスに対する評価システムの確立に向けた評価手法の検討等を行うことを目的としている。

 具体的には,「@国営公園への来園者の利用行動,評価,およびリピート意向等から国営公園における自然体験サービスの位置付けや利用促進に及ぼす影響」,「A先進的事例(国営木曽三川公園)および標準的事例(国営滝野すずらん丘陵公園)における自然体験プログラム利用者の利用実態,評価,およびリピート意向等から,自然体験サービス提供施設としての国営公園の役割」,「B利用者側の視点からの評価手法としての消費者行動研究の考え方にもとづいた分析の可能性」等について検討し,自然体験型余暇活動の促進に資する国営公園の自然体験サービスの一端について明らかにしている。
 これらの結果は,国営公園を中心とした自然体験余暇活動の促進に寄与するだけでなく,自然体験施設等の諸施設においてマネジメントの観点を導入する際の有用な知見となる。
 このように本論文は,造園,観光及び都市・地域計画等の関連諸分野に貢献するものと考えられ,博士(工学)論文に値するものと認められる。