氏    名  湯 口  実 (ゆぐち みのる)

学位論文題目  アルミニウムによる抗菌化加工プロセスとその諸特性および抗菌特性

論文内容の要旨
 
 近年,微生物制御を目的とした材料の開発が進められており,生活用品,建築材料,繊維,プラスチックなどに抗菌性を付与した製品が数多く実用化され,その市場は拡大し続けている。しかしながら,抗菌材料の中で,金属材料に関しては,抗菌処理を行った例は多くはない。
 本研究の目的はアルミニウムに抗菌性を付与させる以下のプロセスについて検討した。無機系抗菌剤を利用した鋳造および粉末冶金,抗菌元素である銀,銅などを利用した電解着色皮膜であり,これらの製造プロセスにて供試材を作製した。得られた供試材はJIS Z2801抗菌試験法に準拠して抗菌性評価を行い,抗菌特性と諸特性を比較・検討した。さらに,電解着色皮膜については2種類のヒト皮膚細胞を細胞培養させ,供試材に細胞液を付着させる実験を行い,供試材が人の皮膚に対して安全であるかを評価するために,皮膚細胞に与える影響も調査した。
 実験結果より以下の知見が得られた。
 
1.鋳造における塗型を利用した,無機系抗菌剤を鋳物表面に固定化させるプロセスは,アルミニウム溶湯が無機系抗菌剤の塗布されている鋳壁に接触し,凝固する過程で抗菌剤が鋳物に導入されることが判明した。

2.無機抗菌剤を分散した粉末冶金では,抗菌性を付与させることは可能であった。しかし,抗菌剤が接種させる液体の pHを高くさせることが判明し,アルミニウムを腐食させる可能性が示唆された。

3.抗菌元素を利用した電解着色皮膜では,銀,銅,ニッケルを電解析出させた供試材が抗菌性を示した。得られた全て試料は,ヒト皮膚細胞に影響を与えなく,人体の皮膚に対して安全性の高い金属材料であると考えられる。

論文審査結果の要旨

 
近年,微生物制御を目的とした材料の開発が進められており,生活用品,建築材料,繊維,プラスチックなどに抗菌性を付与した製品が数多く実用化され,その市場は拡大し続けている。しかしながら,抗菌材料の中で,金属材料に関しては,抗菌処理を行った例は多くはない。
 本研究はアルミニウムに抗菌性を付与させる以下のプロセスについて検討した。無機系抗菌剤を利用した鋳造および粉末冶金,抗菌元素である銀,銅などを利用した電解着色皮膜であり,これらの製造プロセスにて供試材を作製した。得られた供試材はJIS Z2801抗菌試験法に準拠して抗菌性評価を行い,抗菌特性と諸特性を比較・検討した。さらに,電解着色皮膜については2種類のヒト皮膚細胞を細胞培養させ,供試材に細胞液を付着させる実験を行い,供試材が人の皮膚に対して安全であるかを評価するために,皮膚細胞に与える影響も調査した。
 実験結果より以下の知見が得られた。
1.鋳造における塗型を利用した,無機系抗菌剤を鋳物表面に固定化させるプロセスは,アルミニウム溶湯が無機系抗菌剤の塗布されている鋳壁に接触し,凝固する過程で抗菌剤が鋳物に導入されることが判明した。

2.無機抗菌剤を分散した粉末冶金では,抗菌性を付与させることは可能であった。しかし,抗菌剤が接種させる液体の pHを高くさせることが判明し,アルミニウムを腐食させる可能性が示唆された。

3.抗菌元素を利用した電解着色皮膜では,銀,銅,ニッケルを電解析出させた供試材が抗菌性を示した。得られた全て試料は,ヒト皮膚細胞に影響を与えなく,人体の皮膚に対して安全性の高い金属材料であると考えられる。

 以上の成果は防菌防黴誌に掲載され,日本鉄鋼協会シンポジウムテーマの一つとして取り上げられ,国内外から注目されている。よって本論文は博士(工学)を授与するに十分価値あるものと認める