氏    名  シャフィーク アハマド

学位論文題目  Proposals for Mechanistic-Empirical Pavement
        Design System in Pakistan
        (パキスタンにおける経験的理論的舗装設計システムの提案)

論文内容の要旨

 パキスタンなどの発展途上国において,道路輸送システムは信頼性があり有効であることから,経済発展と同様,道路交通システムの質的向上は極めて重要である。また,道路による貨物や旅客の輸送は,コスト効率の良い輸送手段として極めて重要な役割を果たしているばかりでなく,すべての社会階層に対して,労働や商取引に平等な機会を与えている。パキスタンにおいては,国民の税金のほとんどが道路の建設と維持管理に使用されているが,道路舗装の加速的な劣化と早期破壊により,効率的な道路輸送システムの経済的・社会的便益が,ほとんど実現していない。パキスタンでは,たわみ性舗装の早期破壊の主要な要因は,パキスタンで普及している設計手法が地盤環境条件を正確に表していない経験的な舗装設計手法を用いていること,材料や気候条件の不適切な設計値の選定,トラックタイヤの過圧力や過荷重(過積載)に起因すると考えられている。
 パキスタンを含む世界中の多くの国の道路舗装は,加熱混合アスファルトコンクリートを用いたたわみ性舗装が主流となっている。これは,容易に短時間で施工できること,乗り心地がよいこと,すべり抵抗が得られること,初期および維持管理費が低いことなどによる。しかし,たわみ性舗装の設計および性能は,種々の気候条件や繰返し荷重条件の下で,各層における舗装地盤材料の複雑な挙動や路床土の種類など,多くの複雑な諸要因に影響される。
 本研究では,パキスタンにおけるたわみ性舗装設計手法として,経験的理論的舗装設計法を実務に適用することを目的として,パキスタンのたわみ性舗装の現状を概説した後,パキスタンの現状での道路諸条件によるたわみ性舗装の早期破壊の解析的検討を実施した。さらに,経験的理論的舗装設計法の入力値として必要となる材料諸特性に関して,繰返し荷重条件下における非粘着性地盤材料(単粒度砕石)の変形特性に及ぼす時間依存性の検討,小型FWDによる施工管理の有効性の検討を行うとともに,パキスタンでの利用を念頭に耐流動性と耐油性に優れたHSアスファルト混合物の開発とその性能について検討した。
 本研究の範囲で得られた結果を要約すると,以下の通りである。
 1) 経験的理論的舗装設計手法は,舗装性能に影響を与える全ての要因の変化を反映さ
  せられることから,合理的な設計手法であることが明らかにされた。
 2) たわみ性舗装の性能は,軸重のみならず,タイヤ圧にも影響され,舗装の損傷に対
  しては,軸重増加とともに,タイヤ圧の増加もたわみ性舗装の性能を劣化させること
  が解析的に明らかにされた。
 3) 排水層として構成される路盤における単粒度砕石の変形特性には時間依存性の影響
  が見られ,その影響は繰返し載荷履歴を受けるとより顕著になることが明らかになっ
  た。
 4) 小型FWD試験によるKP.FWD値と平板載荷試験によるK30値の関係は,路盤材料(礫質
  土)では2:1,路床材料(粘性土)では1:1の関係にあることが示された。また,
  本研究による提案式により,K値からK30値を推定することがほぼ可能であるこ
  とが明らかにされた。
 5) HSアスファルト混合物は,半たわみ性混合物と同等以上の性能があることが,室内
  力学試験および施工試験の結果から明らかとなった。

論文審査結果の要旨

 パキスタンなどの発展途上国において,道路輸送システムは信頼性があり有効であることから,経済発展と同様,道路交通システムの質的向上は極めて重要である。パキスタンにおいては,国民の税金のほとんどが道路の建設と維持管理に使用されているが,道路舗装の加速的な劣化と早期破壊により,効率的な道路輸送システムの経済的・社会的便益が,ほとんど実現していない。パキスタンでは,たわみ性舗装の早期破壊の主要な要因は,パキスタンで普及している設計手法が地盤環境条件を正確に表していない経験的な舗装設計手法を用いていること,材料や気候条件の不適切な設計値の選定,トラックタイヤの過圧力や過荷重(過積載)に起因すると考えられている。
 本研究では,パキスタンにおけるたわみ性舗装設計手法として,経験的理論的舗装設計法を実務に適用することを目的として,パキスタンのたわみ性舗装の現状を概説した後,パキスタンの現状での道路諸条件によるたわみ性舗装の早期破壊の解析的検討を実施した。さらに,経験的理論的舗装設計法の入力値として必要となる材料諸特性に関して,繰返し荷重条件下における非粘着性地盤材料(単粒度砕石)の変形特性に及ぼす時間依存性の検討,小型FWDによる施工管理の有効性の検討を行うとともに,パキスタンでの利用を念頭に耐流動性と耐油性に優れたHSアスファルト混合物の開発とその性能について検討した。
 本研究の範囲で得られた結果を要約すると,以下の通りである。
 1) 経験的理論的舗装設計手法は,舗装性能に影響を与える全ての要因の変化を反映さ
   せられることから,合理的な設計手法であることが明らかにされた。
 2) たわみ性舗装の性能は,軸重のみならず,タイヤ圧にも影響され,舗装の損傷に対
   しては,軸重増加とともに,タイヤ圧の増加もたわみ性舗装の性能を劣化させるこ
   とが解析的に明らかにされた。
 3) 排水層として構成される路盤における単粒度砕石の変形特性には時間依存性の影響
   が見られ,その影響は繰返し載荷履歴を受けるとより顕著になることが明らかにな
   った。
 4) 小型FWD試験によるKP.FWD値と平板載荷試験によるK30値の関係は,路盤材料(礫質
   土)では2:1,路床材料(粘性土)では1:1の関係にあることが示された。
 5) HSアスファルト混合物は,半たわみ性混合物と同等以上の性能があることが,室内
   力学試験および施工試験の結果から明らかとなった。
   これらの成果から,本論文はパキスタンにおける経験的理論的舗装設計システムに
   関する研究に大いに貢献するものである。よって,博士(工学)の学位を授与され
   る資格あるものと認める。