氏    名  アビリシャーミアン アリ

学位論文題目  Kansei Modeling of Physiological and Psychological Connections
        Based on Bayesian Network
        (ベイジアンネットワークに基づく生理と心理の関係性の
        感性モデリング)

論文内容の要旨

 人が自分の身体に対して感じる認知は案外と不確実なものであり,その不確実性を持って感性的な意思決定をすることが多い。こうした意思決定のプロセスを介してコンピュータと会話することが今後のコンピュータには要求されるため,不確実性を含んだ意思決定のモデリング技法の開発が求められている。こうした不確実性を含んだプロセスの推論にはベイズの確率を適用した確率推論が有効であることが示されてきている。
 本研究は,不確実な意思決定プロセスの一つである感性をモデル化するために,生理学的因子と心理学的因子間の相関性を基にして,ベイジアンネットワークを構築したものである。感性のモデル化には心理学的データの考慮は避けられないが工学の立場からモデリングを行った例は極めて少ない。しかしながら,現在の感性工学やサービス工学のように消費者の意思決定を重要視しなくてはニーズと供給間にミスマッチが生じることになる。
 本論文では,不確実性を含んだ問題領域を確率論的な枠組みによって記述することで,観測された生理的事象と心理的事象を元にして,他の対象の予測を可能とする確率ネットワークに着目し,中でもベイジアンネットワーク(BN)を応用した。そして,不確実性の大きい問題領域として,化粧品に対する印象を取り上げ,モデル化のためのデータ構造,構造の集約化,因果関係の検討をすることで相対データである心理効果を考慮したモデルを構築している。特に,ベイジアンネットワークと相関分析に基づく技法に基づく感性モデリング技法を導入し,予測誤差の比較で適切なネットワーク構造を選択するモデル構造となっている。ベイジアンネットワークは,感性モデリングに関してのクラシファイヤとして用いることができることを示してきた。これらの特徴の他に,新たな実験データが得られると更新が可能なベイジアン予測と動的モデルにもなっている。ベイジアンネットワークの柔軟性は,同じモデルを異なる目的に対して用いる可能性をもたらしている。
 本論文で示した感性モデリングと構築された感性モデルは,不確実で主観的な感性の定量化と感性の個人パターンとしての視覚化を可能とした上で,将来のより感性指向のヒューマンシステムの基礎と成り得ている。

論文審査結果の要旨

 人が自分の身体に対して感じる認知は案外と不確実なものであり,その不確実性を持って感性的な意思決定をすることが多い。こうした意思決定のプロセスを介してコンピュータと会話することが今後のコンピュータには要求されるため,不確実性を含んだ意思決定のモデリング技法の開発が求められている。こうした不確実性を含んだプロセスの推論にはベイズの確率を適用した確率推論が有効であることが示されてきている。
 本研究は,不確実な意思決定プロセスの一つである感性をモデル化するために,生理学的因子と心理学的因子間の相関性を基にして,ベイジアンネットワークを構築したものである。感性のモデル化には心理学的データの考慮は避けられないが工学の立場からモデリングを行った例は極めて少ない。しかしながら,現在の感性工学やサービス工学のように消費者の意思決定を重要視しなくてはニーズと供給間にミスマッチが生じることになる。
 本論文では,不確実性を含んだ問題領域を確率論的な枠組みによって記述することで,観測された生理的事象と心理的事象を元にして,他の対象の予測を可能とする確率ネットワークに着目し,中でもベイジアンネットワーク(BN)を応用した。そして,不確実性の大きい問題領域として,化粧品に対する印象を取り上げ,モデル化のためのデータ構造,構造の集約化,因果関係の検討をすることで相対データである心理効果を考慮したモデルを構築している。特に,ベイジアンネットワークと相関分析に基づく技法に基づく感性モデリング技法を導入し,予測誤差の比較で適切なネットワーク構造を選択するモデル構造となっている。ベイジアンネットワークは,感性モデリングに関してのクラシファイヤとして用いることができることを示してきた。これらの特徴の他に,新たな実験データが得られると更新が可能なベイジアン予測と動的モデルにもなっている。ベイジアンネットワークの柔軟性は,同じモデルを異なる目的に対して用いる可能性をもたらしている。
 本論文で示した感性モデリングと構築された感性モデルは,不確実で主観的な感性の定量化と感性の個人パターンとしての視覚化を可能とした上で,将来のより感性指向のヒューマンシステムの基礎と成り得ている。このことは今後の感性工学分野への貢献が非常に大きいと考える。よって提出論文は,博士学位論文として価値があるものと認める。