氏    名  ロンダン タムブン

学位論文題目  Research and Development of the Particle Size Distribution
        Analyzer by the Buoyancy Weighing-Bar Method
        (浮力秤量法による粒径分布測定法の研究開発)

論文内容の要旨

 粒径分布および平均粒径は,微粒子や粉体技術における最も重要な特性である。粒径分布を測定する方法は様々である。固・液系による粒径分布測定法には,アンドレアゼンピペット法,沈降天秤法,遠心沈降法等があり,懸濁液中の粒径分布を測定するために使用されている。これらの測定方法は,懸濁液中の粒子の移動速度を測定し,粒径はストークスの式を使用して計算される。しかし,これらの測定方法は時間がかかり,特別な技術が必要である。一方,顕微鏡法,レーザー回折散乱法,およびコールターカウンター法は別の原理で粒径分布を測定することができる。これらの測定方法は正確な粒径分布を決定するには多数のサンプルが必要となる。レーザー回折散乱法およびコールターカウンター法は短い時間で非常に正確な粒径分布が得られるが,これらは非常に高価な機器である。従って,粒径分布を決定するために簡易で安価な方法が求められている。
 本研究では,新しい粒径分布測定法である浮力秤量法によってJIS試験粉体1,2種,住友スリーエム(ガラスビーズK1,K37,S60HS),ポリスチレンビーズ(球状),ナイロンビーズ(円筒)等の粒径分布を測定した。さらに浮力秤量法で使用する試料濃度による影響と秤量棒の形状による影響について検討した。浮力秤量法は,沈降性粒子及び浮上性粒子でも測定可能である。浮力秤量法は,ストークス域とアレン域での粒径分布を測定することができる。浮力秤量法で得られた粒径分布は,Rosin-Rammler分布を使用して,より小さな粒径を推定することができる。理論を再検討して,新しい平均粒子径を定義した。他にも浮力秤量法は,短時間で三成分および多成分粒子の平均粒子径を決定することができる。この方法は,粉体業界で非常に有用性のあるものである。
 浮力秤量法によって得られた粒径分布は,沈降天秤法,アンドレアゼンピペット法,コールターカウンター法,顕微鏡法とレーザー回折散乱法などの粒径分布測定法と同様の粒径分布を得られた。他の粒径分布測定法と同様に,浮力秤量法は,測定前に懸濁液を完全混合させる必要がある。浮力秤量法の装置は手作り可能であるため経済的である。他の沈降性粒子測定法と比較すると浮力秤量法は容易である。

論文審査結果の要旨

 近年,粒径分布測定法としてレーザー回折散乱法や遠心沈降法が用いられている。これらの装置を用いることで微小粒子を含む試料であっても短時間で粒径分布を測定できる。しかし,それらの装置は高価であり,新興国などでは導入しづらい。一方,重力を利用した沈降法は測定に時間を要するものの安価であり,自作も可能である。浮力秤量法は,液体中の粒子沈降に伴う懸濁液密度の変化を秤量棒に作用する浮力として感知する。沈降法としては約半世紀ぶりに開発された新しい粒径分布測定法である。しかし,浮力秤量法を原理とする粒径分布測定装置の設計因子および操作因子は検討が不十分であった。本研究では浮力秤量式粒径分布測定装置の設計指針取得,操作の最適化および理論の適用範囲拡大が行われた。
 第1章は緒論であり,粒径分布測定法開発の歴史,既存の粒径分布測定法の長所・短所,浮力秤量法の理論についてまとめている。
 第2章は,浮力秤量法,沈降天秤法,流動層法による解析理論に相似性があることを指摘し,実験的に証明している。
 第3章は,浮力秤量法による粒径分布測定を行い,測定に適した粒径範囲を明らかにしている。また,Rosin-Rammler式を適用して移動に長時間を要する微小粒子の粒径分布を推定できることを示している。
 第4章では浮力秤量法の理論から導かれる結果を応用した迅速測定法を提案している。粒子の移動速度に基づく新しい定義の平均径を指標として導入し,実験的に妥当性を証明している。
 第5章では浮上性粒子を用いて浮力秤量式粒径分布測定装置の設計・操作因子を実験的に検討し,設計・操作の最適化を行っている。
 第6章では浮力秤量法理論の適用範囲拡大について検討しており,粒子移動がStokes域ではなくAllen域であっても粒径分布の測定が可能であることを示している。
 第7章は結論であり,本論文を総括している。
 以上のように,本研究で得られた成果は新規な粒径分布測定法である浮力秤量法に基づく粒径分布測定装置の設計・操作指針を与えるとともに,理論の適用範囲が拡大されたことで浮力秤量法による液滴径分布,気泡径分布測定が可能となるため,水質浄化技術や大気環境保全技術に対しても大きく貢献すると考えられる。よって,本論文の筆者は博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認める。