氏    名  マバッザ ダニエル リへラルデ

学位論文題目  A Mechanism of Innovations and Approaches in Coordination in
        the Post-Construction Era of Infrastructure Management in Japan
        (日本国の社会基盤管理期における調整に関わる技術と手続の
         メカニズムに関する研究)

論文内容の要旨

 日本国における道路,空港,港湾などの社会基盤整備は,国の一元的政策下で長い歴史を持っている。現在,その歴史は,建設の時代から管理の時代へと大きな転換期にあり,それに伴う政策変更を余儀なくされている。管理の時代の政策については,多くの研究事例があり,重要な要点は「調整」である。限られた予算の中で,社会基盤が生み出すサ−ビスを如何に最大化するかが問われており,そのための需要と供給の調整が必要である。また,管理主体を国とするか地方自治体とするか或いは,国や地方自治体という官とするか企業や住民・NPOなどの民とするか,という調整も重要である。本研究では,日本国を対象として,社会基盤管理時代の調整メカニズムの概念を技術面と手続面から提案することが目的であり,この概念を用いて3つの事例分析をして,提案する調整メカニズムの有効性を明らかにした。調整メカニズムの提案に際しては,土地利用と社会基盤整備との間の調整方法と,基盤に求められる需要と基盤が提供するサ−ビス(供給)との間の調整方法,に関する国内外の既存研究レビュ−を行った。これにより,主体,目的,対象,手法の4要素からなる調整メカニズムを整理するとともに,社会基盤管理における世界の潮流は自由化と分権化にあることを導き出した。自由化とは小さな政府の下で社会基盤サ−ビスの供給を市場に委ねることであり,分権化とは国から地方自治体へ或いは,地方自治体から市民やコミュニティへの権限の委譲である。
 提案した調整メカニズムの有効性を把握するため,3つの事例への適用を検討した。1つめは旭川空港を対象とした総合維持管理業務委託事業への適用であり,2つめは北海道横断道路を対象とした高速道路料金無料化施策による人口ストロ−現象への適用,最後の3つめは札幌市の地下鉄延伸を対象とした都市のコンパクト化への適用である。分析に際しては,財務分析手法,計量経済分析手法,地理情報分析手法などを駆使して行った。空港の事例では,市管理の空港事業の一部を空港タ−ミナルビル管理会社へ委託することで財務を改善できることを明らかにした。高速道路の事例では,利用料金無料化という施設管理の手法によっても,帯広都市圏の人口が札幌都市圏に吸い取られ地域が疲弊する可能性があることを分析した。地下鉄延伸の事例では,地下鉄駅周辺の土地利用を高度化させるという土地利用と施設建設の調整により,コンパクト化を促進させられることを示した。
 本研究の成果は,建設の時代から管理の時代へと社会基盤政策が大転換する中で,社会基盤管理施策の構成を「技術と手続の調整メカニズム」として提示したことであり,この調整メカニズムを用いことで都市・地域の経済社会活動や人々の住まい方のニ−ズを汲み取った社会基盤サ−ビスの提供が可能となることである。


論文審査結果の要旨

 本論文は,日本国を対象として,社会基盤管理時代の調整に関わるメカニズムを技術面と手続面から提案することが目的であり,提案したメカニズムを3つの事例に適用して,その有効性を明らかにした。提案に際しては,「土地利用」と「社会基盤整備」との間の調整方法と,「基盤に求められる需要」と「基盤が提供するサ−ビス(供給)」との間の調整方法,に関する国内外の既存研究レビュ−を行った。これにより,主体,目的,対象,手法の4要素からなる調整に関わるメカニズムを整理するとともに,社会基盤管理における世界の潮流は自由化と分権化にあることを導き出した。自由化とは小さな政府の下で社会基盤サ−ビスの供給を市場に委ねることであり,分権化とは国から地方自治体へ或いは,地方自治体から市民やコミュニティへの権限の委譲である。
 提案したメカニズムの有効性を把握するため,3つの事例への適用を行った。1つめは旭川空港を対象とした総合維持管理業務委託事業への適用であり,2つめは北海道横断道路を対象とした高速道路料金無料化施策による人口ストロ−現象への適用,最後の3つめは札幌市の地下鉄延伸を対象とした都市のコンパクト化への適用である。分析に際しては,財務分析手法,計量経済分析手法,地理情報分析手法などを用いて行った。空港の事例では,市管理の空港事業の一部を空港タ−ミナルビル管理会社へ委託することで財務を改善できることを明らかにした。高速道路の事例では,利用料金無料化という施設管理の手法によっても,帯広都市圏の人口が札幌都市圏に吸い取られ地域が疲弊する可能性があることを分析した。地下鉄延伸の事例では,地下鉄駅周辺の土地利用を高度化させるという土地利用と施設建設の調整により,コンパクト化を促進させられることを示した。これらより,提案したメカニズムの有効性が実証された。
 本研究の成果は,建設の時代から管理の時代へと社会基盤政策が大転換する中で,社会基盤管理施策の構成を「調整に関わる技術と手続のメカニズム」として提示したことであり,このメカニズムを用いることで都市・地域の経済社会活動や人々の住まい方のニ−ズを汲み取った社会基盤サ−ビスの提供が可能となる。以上のことから,本論文は博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認められた。