氏    名  池 田 篤 則(いけだ あつのり)

学位論文題目  回転貫入杭における先端部の支持力評価法に関する研究

論文内容の要旨

 本論文は,表層地盤の下に比較的密な砂層が存在する地盤条件を対象として,大型加圧土槽による模型実験および実大杭による原位置試験を実施し,それらの施工時と載荷時の挙動の考察に基づいて,回転貫入杭の新たな支持力評価法を構築したものである。
 最初に,支持層への根入れを変化させた施工実験および鉛直載荷実験を実施した。実験は模型実験および原位置試験であって,前者は模型杭(軸径76.3mm,羽根径152.6mm)を大型加圧土槽に作成した二層地盤に施工した場合,後者は実杭(軸径114.3mm,羽根径228.6mm)をシルト層を貫通させて細砂層に根入れさせた場合である。これらの実験を通して,回転貫入杭の支持層への根入れ効果に関する新たな知見として,@杭先端面が支持層に達する手前で杭体トルクや貫入率が変化するので,支持層への到達状況を概略知ることができること,A杭先端を支持層に根入れさせると羽根面の支持力は増加するが,杭先端面の支持力はほとんど変化しないこと等を得ている。更に,上記の大型加圧土槽を用いて,薄層の厚さを変化させた施工実験および鉛直載荷実験を実施し,B薄層の層厚を増加させると杭先端面と羽根面の荷重が増加するが,支持力に有効な層厚が存在すること,C載荷の進行に伴い杭先端部荷重に占める杭先端面および羽根面の荷重負担割合が変化することを明らかにしている。
 上記の特性から,杭先端面と羽根面に地盤のN値を同様に付与することの問題点,並びに杭先端部の極限支持力に一律の安全率を課して許容支持力を評価することの問題点を指摘できる。そこで,回転貫入杭工法においては杭先端面と羽根面を分離して評価することが重要との観点から,下記の考え方を導入した回転貫入杭の新たな支持力評価式の構築を行っている。
1)極限支持力の評価については,杭先端面および羽根面について,それぞれ独自の支持力係数αbおよびαwを導入する。
2)長期と短期の許容支持力の算定では,杭先端面および羽根面について,それぞれ独自の支持力発揮率ξbおよびξwを導入する。
 これらの評価式の妥当性は,杭の打ち止め深度の異なる原位置載荷試験結果と比較することで検証した。
 最後に,既往の回転貫入杭の原位置載荷試験結果に対して,杭先端面荷重と羽根面荷重を合わせた杭先端部荷重の計算値が実測値に概ね近似することから,本論文の評価式の適用性を確認した。


論文審査結果の要旨

 本論文は,表層地盤の下に比較的密な砂層が存在する地盤条件を対象として,大型加圧土槽による模型実験および実大杭による原位置試験を実施し,それらの施工時と載荷時の挙動の考察に基づいて,回転貫入杭の新たな支持力評価法を構築したものである。
 最初に,支持層への根入れを変化させた施工実験および鉛直載荷実験を実施した。実験は模型実験および原位置試験であって,前者は模型杭(軸径76.3mm,羽根径152.6mm)を大型加圧土槽に作成した二層地盤に施工した場合,後者は実杭(軸径114.3mm,羽根径228.6mm)をシルト層以深の細砂層に根入れさせた場合である。これらの実験を通して,回転貫入杭の支持層への根入れ効果に関する新たな知見として,@杭先端面が支持層に達する手前で杭体トルクや貫入率が変化するので,支持層への到達状況を概略知ることができること,A杭先端を支持層に根入れさせると羽根面の支持力は増加するが,杭先端面の支持力はほとんど変化しないこと等を得ている。更に,上記の大型加圧土槽を用いて,薄層の厚さを変化させた施工実験および鉛直載荷実験を実施し,B薄層の層厚を増加させると杭先端面と羽根面の荷重が増加するが,支持力に有効な層厚が存在すること,C載荷の進行に伴い杭先端部荷重に占める杭先端面および羽根面の荷重負担割合が変化することを明らかにしている。
 上記の特性から,回転貫入杭工法の杭先端面と羽根面に地盤のN値を同様に付与することの問題点,並びに杭先端部の極限支持力に一律の安全率を課して許容支持力を評価することの問題点を指摘した後,下記の考え方を導入した新たな支持力評価式の構築を行っている。
1)極限支持力の評価については,杭先端面および羽根面について,それぞれ独自の支持力係数αbおよびαwを導入する。
2)長期と短期の許容支持力の算定では,杭先端面および羽根面について,それぞれ独自の支持力発揮率ξbおよびξwを導入する。
 これらの評価式の妥当性は,杭の打ち止め深度の異なる原位置載荷試験結果と比較することで検証した。更に,既往の回転貫入杭の原位置載荷試験結果に対しても,杭先端面荷重と羽根面荷重を合計した計算値が概ね近似することから,本論文の評価式の適用性を確認した。
 以上要するに,本論文は表層地盤の下に比較的密な砂層が存在する地盤条件を対象として,回転貫入杭の新たな支持力評価法を構築したものであって工学的価値が高い。よって,著者は博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認める。