大学の研究と発明・特許 ― 室蘭工業大学 知的財産本部の役割−

 
知的財産本部長 野口 徹


 大学では,講義や実験だけでなく,最先端の研究に携わることで研究開発能力を養う教育も行います。特に大学院では,先生方とともに研究を計画して実施し,その成果をまとめる訓練が教育の多くの部分を占めます。そのような研究活動の成果,新しい知識や技術は全て知的財産です。知的財産は多くの場合「論文」の形で公表され,社会の役に立つのですが,中には,「特許」の形で,新しいアイデアや技術を考え出した人(研究者,学生)の権利を守る必要がある場合が出てきます。このような「特許」を狭い意味での「知的財産」と呼びます。
 特許を取るには,そのアイデアや技術が過去に知られていない独自で新しいものであること,および,それが実際に有効であることを証明する必要があります。知的財産本部は,先生方が知的財産,特許を取得し,またそれを世の中で活用してもらうお手伝いをする組織です。先生方からは,毎年10〜20件の発明(=新しいアイデアや技術)の届け出があります。新しい機能をもつ材料やその製造法,新しい理論に基づいた装置や製品の案などです。企業との共同研究では,成果の多くが発明,特許の対象になります。これには色々な契約が必要になりますが,そのお手伝いも知的財産本部の仕事です。
 知的財産には「著作権」も含まれます。実験データや図表を含む論文,授業の資料や写真,デザインなどは全て著作物で,その作者,著者の権利が守られなければなりません。また学会発表や配布資料,本の出版などでは,他の人の著作権を侵さぬように注意することが必要です。開発したコンピュータのプログラムは発明か著作物か,教員の指導で研究した学生の成果は学生,教員,どちらのものか,転勤や卒業で所属が変わる場合の権利はどうなるかなど,難しい問題が沢山出てきています。
 さらに,研究が「核兵器や生物・化学兵器およびその運搬手段」に用いられないための国際的取決めに違反しないようにすることも大学の義務です。室蘭工業大学では航空宇宙関係の研究,極限下での材料技術,超精密な制御や加工技術の研究などが進められていますから,成果の外国への持出しや留学生の教育などで,知らない内に取決めに違反することのないよう注意しなければなりません。
 グローバル化し,また極度に情報化が進んだ現在,さらに,大学外の社会と密接に連携しての研究・教育では,知的財産に関する基礎的な理解が強く求められています。



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更新年月日:2011年10月25日 作成担当部局:企画・評価室 問合せ先:koho@mmm.muroran-it.ac.jp