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2019.03.26. / イベント

学位記授与式における学長告辞を掲載

学長告辞

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 今年は雪解けも早く、春の日差しを感じ始めた本日、ご来賓並びに名誉教授のご列席のもと、学部卒業生、大学院修了生そしてご家族、ご親戚の皆さまと共に平成30年度学位記授与式を行いますことは、室蘭工業大学にとりまして誠に慶ばしく、ご列席の皆様と共にこの喜びを分かち合いたいと存じます。

 本日、晴れて学部を卒業し学士(工学)の学位を得られた方は632名、大学院博士前期課程を修了し修士(工学)の学位を取得された方は200名、また大学院博士後期課程を修了し博士(工学)の学位を授与された方は14名です。そして卒業生・修了生の中には外国人留学生が29名おられます。

 これら846名の皆さんに、学位の取得並びに卒業・修了を心からお祝い申し上げます。また皆さんの入学から今日まで、修学を励まし支えてこられたご家族並びに関係者の方々に敬意とご祝辞を申し上げます。

 さて本日は学位記授与式に当たり、卒業生・修了生の皆さんに、私からの期待とメッセージを述べさせていただきます。

 昨年末から今年の年頭にかけて、日本そして米国の株価が急激に暴落し、不安な始まりとなり、さらにはアメリカと中国の貿易摩擦、日韓の緊張など不安材料もありますが、最近は日本の経済は一応落ち着きを見せております。また、学部生そして博士前期課程修了生の皆さんの就職状況も、慢性的な勤労者不足の影響もあり、大変良好といえる情勢でした。

 さて、皆さんは大学という社会からプロテクトされた環境から、社会・産業界の荒波のなかに旅立つことになります。十分な覚悟と準備が整っているでしょうか。

 本学での学びは、最初は基礎から入りますので、そこで出会う問題や課題には、たいていは正解が存在していました。一方で本学が力を入れている課題解決型の授業や、演習や自ら考える授業のなかで、あるいは学生実験やその後のレポートの考察の際に、そして卒業研究や大学院での研究課題に取り組む際には、正解どころかそもそも答えがあるかどうかわからない問題に遭遇した経験が何度もあったのではないでしょうか。答えがあるかどうかわからない問題・課題と立ち向かい、答えに近づく、チャレンジするのはとても勇気がいることです。なぜなら、もし答えにたどり着けなければ、あるいはどんなに頑張っても、そもそも答えがないかもしれないという不安に打ち勝つのは容易なことではありません。

 

このようなとき、どのように対処されたことでしょうか?

 

 少し話が変わりますが、嬉しいニュースをお知らせします。本学は、昨年 9 月に公表された THE 世界大学ランキング2019において、世界の約23000校に及ぶ高等教育機関のなかの TOP 5 %に相当する1258校の一つとして1001+ の位置にランクインしました。

 さらには、本学の専門である Engineering & Technology 分野では道内では北大についで世界で601~800位にランクインしています。日本の国公私立大学では72の大学のみがランクインし、本学はそのなかで16~42位という大変な好位置にあります。国立の工業大学としての研究力に基づいた存在感を示すことができました。

 これらは室蘭工業大学の研究成果が論文として公表され、外部資金の獲得・評価につながった結果であり、本学の存在感を示すことができたものと大変うれしく感じております。

 また昨年 4 月に公表された朝日新聞出版社の大学ランキングによると、コンピュータ科学分野の論文 1 報あたりの被引用指数では、なんと本学は日本一に輝いています!! これは他の研究者の参考となり論文の質が高いことを示しています。実は私は学長に就任した4年前に、その当時、京都大学総長から理化学研究所の理事長になられた松本紘先生に本学のブランド戦略についておたずねしたことがありました。そのとき松本先生には、「どんな小さなことでも良いので日本一のことを見つけなさい」と言われました。それ以来、本学のステータス、ブランド力を高めて行く上で、本学において「日本一」のものを見いだしたい、作り出したいと考えておりました。今回、このように本学の研究分野で、一つの観点からではありますが、日本一の分野ができたということは、その念願が叶い、大変素晴らしいことと嬉しく思っています。

 このようなevidence に基づいた、本学教授陣による裏付けのある確かな研究力をベースとした教育力こそが、本学の実績であり強みです。本学教員の真摯な研究指導のもと、皆さんは卒業研究、修論、博士論文研究のなかで、それぞれの未知な課題の解決を自ら体験されました。答えがわからない課題にぶつかったときの体験、そこから何を調べれば良いか? ゼミの同僚、先輩、そして指導教員とのdiscussionのなかで、ヒントをもらったり、課題解決へ向かった体験をもっていることでしょう。必ずしも、解決に至らなくても、課題解決に向かうプロセスや費やした時間そのものにも皆さんは価値を見いだせます。それぞれの立場で未知の問題の解決に立ち向かった、チャレンジした経験こそが、皆さんの本学での学生時代の貴重な宝物だと考えてください。そして、何か小さくても自分の中で「一番」のものを見つけてください。

 

 ところでここ数年、人生100年時代という言葉を耳にします。ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授がLife Shift100年時代の戦略を唱えたことに始まります。

 本学で皆さんは各自の専門分野を学び、それぞれの学位を取得されたわけですが、これまでは学びはこの時点で終了だったかもしれません。しかし人生100年時代ともなると、皆さんはこれまで学んだ20数年間の何倍も長い期間、社会を生きぬき、自らを磨き、切磋琢磨して行くことになります。

 私の専門は「化学」「化学工学」という分野ですが、最近では情報技術、データマイニング、ビッグデータの取り扱い、AIなどの分野を大変興味深く感じております。もう少し若ければ、ブロックチェーンやAIなど学び直したいところです。遅ればせながら、分厚い本も買って、学長室の書棚に入れてはあります。人生100年時代ですから、私でもまだ学び直しに遅くはないかもしれません。ましてや100年時代をこれから生き続けて行く皆さんは、大学を卒業しても、やはりまだまだ学びが続きますね。皆さんが本学で身につけた専門分野を一つのベースとして、社会で活躍するために、さらに専門を深めたり、あるいは幅を拡げ、新たな先端分野を学んだり、社会・産業の状況に応じて学び続けて、これからの人生を有意義に過ごすための準備をしてほしいと思います。

 

 最後になりますが、皆さんの周りにはたくさんの応援団、仲間がいます。

 本学の同窓生は既に30000人を超えており、産業界・社会で実績を残して、活躍している先輩たちが皆さんを温かい目で見守っています。この3 万余名の卒業生の社会での活躍とそこからの応援、そして室蘭工業大学で共に学んだ皆さんの経験こそが、これからの皆さんの力となります。

 室蘭工業大学は、これからも皆さんと共に、日本のそして世界の輝かしい未来を築くべく、教育と研究そして社会への貢献を大きな柱として歩みます。

 皆さんのご健勝とこれからの輝かしい未来でのご活躍を祈念し、学長告辞といたします。

 

 

                              平成31年3月25日

                               室蘭工業大学学長 空閑 良壽

 

 

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